海を渡るとプロンプトくんが言った。船を使って大陸を離れるため、しばらくはこちらに戻ってくることができないそうだ。でも、時間のない中で、わたしは彼がその事実を直接会って、本人の声で伝えてくれたことが本当に嬉しかった。適当な事も言えただろうに、ノクティス様、イグニスさんやグラディオさんの前で確かにそう言ったのだ。三人に聞いてもらうことで本当のことだと思って欲しいいう彼の気持ちがなんとなく分かった。嘘は言っていないということだろう。 「わたしは、この子たちと一緒に待っているから」 「うん」 「気を付けて、行ってきてね」 「……さよなら、はもう言わないよ」 「ナマエ、少し待っててくれ。すぐにプロンプトを送り返す」 「嬢ちゃんの元に担いで戻って来るからな」 「貴女も元気で」 「はい……!プロンプトくん、いってらっしゃい」 「いってきます。またね、ナマエちゃん」 彼らはレガリアという車でずっと旅をしているらしい。そして、なんとあの車はレギス様の所有していた物だそうだ。高級な乗り物であることは見た瞬間に雰囲気で分かったが、王族の人々が乗っている物を目の前にするとは思わなかった。 離れたところで四人の姿を見送ろうと待っていると、イグニスさんが運転席に乗って、右手を挙げる。つられるようにして、わたしも手を挙げる。周りにいたヒナチョコボたちは何が一体起こるのかとばかりに、足元でくるくると駆け回っている。しかし、その手を助手席に乗っていたプロンプトくんが掴んだものだから、レガリアは一向に出発しなかった。ノクティス様やグラディオさんが後部座席から、何かを言っているようだったが、会話の内容まではさすがにこの距離では分からない。すると、急にレガリアが降りたプロンプトくんがこちらに向かって全力で駆けて来る。忘れ物でもあったかな、なんて周りを見渡すが、彼らの私物で忘れているものなんてひとつも見当たらない。わたしが預かっている物もないし、とポケットを無意味に漁った。 「ナマエちゃん!」 「忘れ物?」 「えっと……うん!そうかな、忘れ物になるかも!」 忘れ物をした割には明るい口調で、特別焦った様子も見られないプロンプトくんにその忘れ物の名を尋ねようとして口を開いた瞬間に、言葉ごとくちびるを食べられた。わたしの後ろにはチョコボポスト、プロンプトくんの後ろにはレガリアに乗った三人、わたしたちの足元には動きを止めたであろうヒナチョコボたち。公衆の面前でまさかこんなことをされるなんて思いもしなかったわたしは、思わず腰を引いた。しかし、プロンプトくんの手が逃がさないとばかりに回ってくる。結局、彼から逃げられないのはいつものことだった。本当にずるいんだから。 「……忘れ物、だよ」 |