なあ、と紡がれた言葉に顔を上げてみれば、部活では滅多に見せない真っ赤な顔。唇を噛んではわたしから目を逸らしたりと、挙動不審。背の高い彼の頬を自分の手でゆっくりと挟んでみるけれど、つま先立ちのせいで長くは続かない。



「アイスあるから、うちに寄って」



耳まで赤く染めた男の人はこんな台詞を吐くのか。考えられない。変に鋭いわたしは、言葉に首を傾げては顔を逸らしている彼の真正面にぐるりと回って、目をじっと見た。ふいっ、と逸らされた瞳は熱を孕んでいるようで獣を思わせる。健全な男子高校生だって、此方も了承済みなのだから、一生懸命そんなに隠そうとしなくたっていいのに。わたしは彼の唇に人差し指をぴたりとくっつけた。



「大地くん、わたし覚悟はずっと前からできているんだよ」
「お、お前な…そういうことは、」
「ベッドの上で言って欲しかったのかな?」
「女の子がそんなペラペラと口にしちゃいけません!」



人差し指を掴んだ彼が大声で反論してくる様子があまりにも必死で、わたしは思わず笑ってしまった。バレーの練習をしているときには、こんなに主将の立場が悪くなるような場面はきっとないだろうから、慣れていないのだと思う。または、自分の立ち位置が危ういときにどう躱せばいいのか、方法を知らない。どちらにしろ、慌てた様子で余裕なんてこれっぽっちもない彼は可愛いのだけれど。



「でも大地くん」
「まだなにかを」
「アイスを口実にわたしを誘っているのが見え見えだよ。親が出掛けているから飯はどうするかなーって、今日靴箱で後輩くんたちに言ってたもんね?」
「き、聞いてたのか…」
「うん。だから、わたしがご飯作ってあげてもいいよ」
「ほんとか!?それは俺も助かる」
「あとね、大地くん、誘い文句は色気があるとわたし嬉しいな。この場合だったら、そうだなあ…ご飯のあとに」
「うわあああ、いっ、言わなくていいからな!!」


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