*女の子≠プロデューサー 「え!誠司さん、またこんな……」 「いいだろ、名前も疲れてるだろうし」 「わたしが支えるはずなのに、どうしていつもこうなっちゃうんだろ。仕事でも年下の子、可愛がって世話してあげてるんでしょ?」 「世話のつもりはないんだが、どうもそう思われてるらしいな」 休みの日に遊びに来た彼をもてなそうと思ったのに、いつの間にか誠司さんが掃除をし、洗濯をし、料理まで作りあげてしまっていた。わたしの出る幕などないと言いたげに。仕事の休みが合わない日が続いていたので、誠司さんに休みがあったらいつでも来てくださいとは言ったけれど、仕事が終わって帰ってみれば全てができあがっていた。今日は早めに仕事を切り上げて帰ってきたつもりだったのに、先を越されてしまっている。 「もう、風呂も沸かしておいたぞ。先に入るか?」 「……ううう!全部負けちゃった」 「そんなに気にしなくていいんだぞ。自分が勝手にやってるんだから」 「で、でも……」 「少しは甘えなさい」 「それはわたしの台詞です!」 「名前は別のところで甘やかしてくれれば、それでいいんだ。というか、もういい歳した大人が甘やかされるっていうのもな……」 頭を掻きながらソファーでくつろいでいる誠司さんの隣に座ると、わたしはわざと少し頬を膨らませて彼の方を見る。そんなになんでも自分でこなせるのは狡い、という思いを込めながら。わたしの両頬が膨らんでいるのを見た彼は、まるでリスみたいだなと笑った。こうやって誤魔化され、誠司さんのペースにいつの間にか乗せられてしまって、結局わたしが甘やかされてしまう。リベンジを果たそうと毎回意気込んで臨むのだけれど、返り討ちにあうだけで、わたしの思い通りになったことは今までに一度もない。本当に狡い人だ。わたしの歩く先に必ずいて、手を引いてくれるような、そんな存在にほっとしているのも事実だけれど。 「いつになったら、誠司さんに勝てるのかな。わたしもアイドルになろうかな」 「何を言っているんだ。名前は名前らしくいれば、それでいいんだ。変なことを考えるんじゃない」 「……はーい」 Title:シングルリアリスト |