分からなくなってしまった。友だちだと思っていた女の子を俺が一人の女性だと見るようになってしまってから。異性として意識するだけで今までの接し方ではだめな気がして、路頭に迷ってしまった。形のある答えが欲しいわけではないけれど、探しても見つからない気がする。 「ヒナタ!」 俺が今まで見ていた名前のはずなのに、名前じゃない。一緒に鍛錬をして、悪巧みをして叱られたりした名前ではないのだ。俺の知っている彼女とは違う。あの頃とは声色、髪、体つき、全てが変わってしまったことにどうして今まで気づかなかったのだろう。 「お、おう」 「顔が変」 柔らかな頬を引っ張ってからかうことを何度も繰り返してきたのに、触れることを躊躇ってしまう。細い腕を引いて、悪戯の手引きをしたのに折れてしまいそうな、その腕を掴むことは許されないような気がしてならない。言葉を紡ぐくちびるはほんのりと薄い桃色が主張している。目に付いたことなんてなかったはずなのに。 「名前は女の子だよな」 「何を言っているの?変なヒナタ」 心臓の鼓動が、早くなる。名前は女の子。俺は男。もう、子どもではないのだ。 Title:誰そ彼 |