しとしと
梅雨入りしたばかりだからか、小雨程度で良かった。少し肌寒いと漏らせば 速水君は私の肩に自分のジャケットをお姫様にするみたいにかけてくれた。
最高のディナーをご馳走してもらって、イタリアコーヒーの美味しいお店で 二人して甘いチョコラータを飲んだ。
口の中に残るざらざらとしたチョコラータ特有の粉っぽさを転がしながら、二人の家に帰る。
「◎さん、公園に寄っていきませんか...?」
「食後の運動がてらいいかもね」
普段なら雨の日に公園なんて嫌に決まってるけど、速水君が沢山私にサービスしてくれて とにかく機嫌が良かったから了承した。
1人ならきっとタダのビニール傘だけど、雨粒に濡れたビニールが街灯に照らされて ダイアモンドの中に閉じ込められたみたいな世界を作る。
「上ばかり見てると転んでしまいますよ」
「速水君のおかけで、今私世界で1番幸せなお姫様の気分だから転んでも大丈夫」
「何を言ってるんです...!転んだら怪我しちゃうからダメです」
狭い傘の中で速水君は私の腕をしっかりと掴み 転ばないようにツルツルとした地面をゆっくりと歩いてくれる、昔から変わらず優しい彼の腕に自分の腕をしっかりと絡めて 歩幅合わせて紫陽花の花道を進む。
「綺麗だね 紫陽花」
「そうですね 梅雨の時期は特に綺麗な色を魅せてくれます」
「速水君って お花好きだっけ?」
「いえ好きとかじゃないですけど... でも季節の訪れを教えてくれる植物はなんだか、好きです」
しとしと
雨音が 優しく包み込むように私達二人を濡らしていく、速水君は 歩幅を狭くして ピンク色した紫陽花の前で立ち止まった。
「どうしたの?」
「...少しだけ雨止んできましたね」
傘を私に手渡して彼は鞄の中から水色の箱に薄い水色のリボンがあしらわれた小箱を取り出した、それは きっと女の子なら大切な人に貰いたいであろうティファニーの箱。
驚いて傘を手から離してしまう、幸いたまに顔に落ちてくる程度の雨粒が 「おめでとう」 と言ってるようで気持ちがいい。
「...速水君、」
「◎さん ちょっとだけいいですか?」
両手で口元を抑えて一生懸命ニヤニヤを見せないようにしているのに、私の声は喜び過ぎて ニヤニヤしてるよーと彼に教えている。そんな私を見てくすりと笑った速水君は 私の前に跪いて、パカッと箱を開いたのだ。
▽
「◎さん こんな俺ですけど、絶対に貴女を幸せにします...!結婚してください」
箱を取り出した時はきっとネックレスか何かだろうと思っていたが、跪いたあの瞬間に全てが繋がった。
こんな紫陽花に囲まれた場所で 私は彼からプロポーズを受けるんだ...!そう思っていたら こんなステキなプロポーズの言葉と、キラキラと雨粒のように光るダイアモンドが輝く指輪が顔を出した。
「喜んで...!!!!」
「は、はや...!」
彼の言葉に被せるように返事をしてしまった私は、彼の不安そうな表情が和らいでいくのを見つめていた。
「...指輪 はめてもいいですか?」
「うん 速水君...いや、鶴正くん お願い」
オードリーになってしまったのかと 錯覚してしまった、私は彼に左手を差し出して 輝く指輪が薬指にはいっていくのを息を飲んで見つめた。
20180612〔恋人の日〕
づき様、初めまして管理人のriricoと申します。そして、今回はアップが遅くなってしまいまして申し訳ございませんでした。
速水君初書きです~!赤い紫陽花は元気な女性という花言葉があります。ティファで 朝食をのようなロマンティックな雨の日にしたくて書いてみました。
リクエスト来なければ書く機会がなかったと思いますので、この度はリクエストありがとうございました!
是非今後もよろしくお願いします!