「白竜 今...なんて言ったの...?」
あの日彼の唇から零れた 「もう付きまとうな」 という言葉は私を地獄のどん底まで突き落とした、近くにある式場のウェディングベルが「可哀想だね」と嘲笑っていて 世界がグラッと全部変わってしまった。
あれから もう、5年ほどが経った。
20歳になる私はあの日 白竜が私を突き放した海へと向かった、彼の活躍は雑誌で読み テレビで観ていた熱愛が騒がれるたびに私は涙を流し続けていたがもうそんな事は 20歳で終わりにしたかったから。
彼を追いかけ続けていた6年間はとても楽しかったけど、もう正直ウンザリだ。
ザァー 静かなのに荒い波に吸い込まれるように、私は 1歩 2歩 と海に近付いた。足裏の痛みは胸の痛みに比べれどうってことない、5年前私に嫌味を言ってきた あのウェディングベルを睨んで「バーカ!」と叫んでみた。
「普通叫ぶのは海にじゃないのか」
白い髪が揺れた。
五年ぶりの白竜が、私の背後に...立っていた。
「...何してるの、?」
「毎年この日はここに来ていた」
「なんで」
「お前に会えると思って」
白竜の瞳は相変わらず綺麗な赤色で、雑誌の向こうの人になってしまった彼が目の前に現れると 変に緊張してしまった。
「あの日あんな風に私のこと突き放したのに?」
「俺はまだまだ子供だった 小さい頃からお前みたいに俺を気遣う人間もいなかった、だから お前のことが怖かったのだ」
「私が?」
怖かったのだ 海が泣いているように荒れだした、あと数歩進めば海に入れる もしかすると死ねるかもなんて思ってた私の心を見透かしたのか白竜は私の腕を引いて海から離れた。
「怖くてお前を突き放したんだ 悪い事をした」
「...もう遅いよ」
「そんな事 言わないでくれ、◎」
掴まれた腕から伝わる熱は本物だった、一度も私には触れてくれなかった白竜の体温はこんなにもあたたかかったんだと 涙が流れそうになる体温に 口が勝手に動いて「白竜」と名前を呼んでしまう。
「白竜...好きだった、ずっと...今日貴方を 諦めようって思ってた」
「こんなにも長い間 俺の事を思い続けてくれていたのか?◎、俺はお前の時間を沢山無駄にしてしまったのだな...すまなかった やり直しをさせてくれないか」
▽
ずっと恋い焦がれてきた白竜に抱き締められた私は、体が浮きそうになるほどに舞い上がっていた。恐る恐る背中に腕を回せば より一層強くなる抱擁。
「白竜」
「◎ 添い遂げることを前提にだ、俺と付き合ってくれないだろうか」
「添い遂げるって...つまり、?」
「ゆくゆくは 妻になってほしいのだ」
天然なのか 本気なのか 相変わらずわからないが、真剣なその表情に私はつばを飲み込み何度も何度も頷いた。
「◎ ほんとうか、?」
「うん...」
「正直断られると思っていた こんなにも嬉しい事は無い、◎ もう一度抱き締めていいだろうか」
「いいよ...って、きゃ!」
私の返事を待つ暇なく、彼は私を抱き締めて上に持ち上げた。クルクルと2回ほど回って 私の顔を見ると白竜は本当に嬉しそうに「愛している」と笑った。
今日そこの海に飛び込んでやろうなんて一瞬でも考えた私が馬鹿だった、私達の後ろで鳴るウェディングベルはケラケラと楽しそうに祝福の鐘を鳴らした。
20180612〔恋人の日〕
ずっと追いかけていた白竜と結ばれる話
波陽様、初めまして管理人のriricoと申します。そして、今回はアップが遅くなってしまいまして申し訳ございませんでした。
白竜夢は初めて書かせて頂きました!
きっと彼は青春時代を女の子と過ごすなんてきっと無理だろうなぁなんて思ってこんな話にしてみました、ご要望に添えてませんでしたら申し訳ございません(;_;)
この度はリクエスト頂きましてありがとうございました!今後も是非よろしくお願いします。