Abracadabra
「アイヌ彫刻の話...何度見てもうるうるするの 今日博物館で見れて本当に楽しかった、ありがとう照美!」



万博の緑に包まれた広場で 博物館から出てきた僕達は缶に入ったジュースを二人で飲みながら、博物館の感想を言い合う。コソコソと耳元で囁くように話をすると「だめっ...!」なんて可愛く怒られてしまって...僕としたことが彼女は耳が弱いということを忘れていた。

ロングスカートからちらちらと覗く足首、くるぶしソックスの原色と両親から貰ったお揃いのメーカーのスニーカーがよく映えている。ゆったりとした装いに、もうすっかりとお気に入りになったらしい リップティントのしっかりとした発色がピリッと刺激的で 僕は彼女の唇に触れた。



「照美...?」

「かわいいね、君は 沢山の色を見て 沢山の文化に触れたがる...そんな少女みたいな君を見てると胸がドキドキしてしまうよ」

「そんな事をサラッという照美にドキドキしてるよ...」



付き合ってもう長いというのに彼女も僕もお互いに恋をしている、素敵な事だね。

大阪の賑やかな人達の言葉に耳を傾けながら 風で髪を揺らした、彼女が缶ジュースを飲み干すのを待った。



「次は何処に行くの?」

「きっと君が気に入るところだよ」











暗がりの中を進む。

フォトジェニック達が好みそうな展示物のデザイン性を二人して褒めながら 水槽の中でアンニュイに泳ぐクラゲを目で追った。



「暗いね」

「転ばないように僕にちゃんと掴まっててね」



グイッと少し強引に引っ張れば彼女は僕の胸元に頭を押し付けるようにして倒れ込む、クラゲの水槽からの光で彼女が怒った顔をしてることが分かった。



「ごめん 怒らないでよ」

「照美 なんか今日悪戯坊主みたいだよ」

「僕はまだ子供だからね」



くすくす 二人して笑ってしまった、クラゲのフロアを抜けて 歩き進めた。神秘的な光のアート 大きく光る地球が僕達を照らしているような不思議な球体の下で僕達は立ち止まる、何も言わずに僕達は そのフロアに置いてある大きなクッションに腰をかけて 徐々に色が変わるその球体をぼーっと見つめた。



「◎ なんだか不思議な感じがするね」

「でも 綺麗だね」



自然だけが全てだと思ってたけど、人間が作ったものもこんなにも綺麗で温かく感じるんだね。

そう言って笑う彼女に耐えきれず、キスをした 大阪なんて二人で初めて来たから 今日はいけない事をしても許されるんじゃないかなんて気持ちが理性を上回る。



「...てるみ、」

「もう一度するかい ?」



次は彼女から。

遠くにいるカップルも同じ様に肩を寄せ合ってる、僕も君もこんな所で こういう事するのは嫌いなはずなのにね。舌を絡めるようなキスじゃなくて、キスの仕方を教えてもらったばかりの子供のように何度も何度も 優しくて柔らかいだけのキスを繰り返す。


瑠璃色の地球だった球体は、いつの間にかミラーボールのようなシルバーに...彼女と僕の顔をキラキラと照らして 二人の世界をまた更新してしまった。



「...僕達このままここに居たら、悪い事をしてしまうかもね」

「うん...、大阪の思い出がソレになっちゃうね」



楽しそうに笑った彼女の目尻が愛らしくて、親が子供にするようなキスを目尻に落として彼女の手を引いて 明るいフロアへと向かった。



「この後は串カツにでも行こうか?」

「お好み焼きもいいなぁ...」

「どっちも食べようか ◎」



彼女とキスをしていたら 珍しくとてもお腹が空いてしまった、昼ご飯と彼女と過ごす夜のホテルの部屋の事を考えながら 僕達は世界一楽しそうに笑った。





20180612〔恋人の日〕
旅行へ行くお話

エミリア様!リクエストありがとうございます~!アップ遅くなってしまいまして申し訳ございません...。

照美くんと是非大阪に旅行来て欲しいな~なんて考えながら、書いてみました。是非二人で行きましょうと約束した博物館近くの広場で 照美君と感想を言い合いながら風を浴びるなんてロマンティックじゃないでしょうか...?
二日目は 勿論食べ歩きですね、私は照美くんが串カツを口にするなんて本当に考えられないのですが...怖いもの見たさで見たみたいです(^-^)

いつも、仲良くして下さり本当にありがとうございます。今後もよろしくお願い致しますー!
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