#自分探し

私のワンピースは手の届かない場所にグシャグシャに丸められて投げ捨てられた、再生ボタンを数分前につけたオジサンは下着姿の私を体育座りさせて テレビの前に。

その動画の内容は軽薄で気持ちの悪いもので...女子高生に寄ってたかってキモいおじさん達が自分のモノを取り出して 舐めさせようとしてる。ちらっと おっさんを見るとズボンを脱ぎ ダルダルのトランクスから 所々に斑点のある自分のモノを取り出した。

今まで生きて来た 人生の中で1番気分が悪い、アレをまさか同じように私の口の中にいれるつもりなのか。

ドキドキと嫌な心臓の速さ、全身汗でびしょびしょだ...ヒロトさんの電話からもう30分以上経ってるのに まだ来てくれない...。こんな悪い子、いらないよね。見捨てられたのかも...そもそも 手の届かない場所に居るヒロトさんは私みたいな 中学生を相手にするわけない、し。

ごめんなさい ヒロトさん。

瞳子さんも、リュウジさんも、いつも お日さま園に来てお喋りしてくれるお姉さんお兄さん達の顔が 浮かんでは消える。あーあー 私ずっと ヒロトさんに処女を捧げるつもりだったのに、こんな 気持ち悪いオッサンが初めての相手なんて。


とんでもない事をしてしまった。



「◎ちゃん、ほらほらー 舐めて」

「できない...」

「やり方が分からないのかな?ほら みて?あの通りにするんだよ」



あれはお金で契約して了承の上での行為...これは違うから...!バカ!気持ち悪い!ぼろぼろと涙を零すと オッサンは喜びの声をあげる。



「わー!そこまで 真似してくれるの?優しいなぁ ◎ちゃん...気分盛り上がってくるねェ」

「ちがう...」

「さ、舐めようね 大人しくしてね」



唇に硬いものが当たった、ヤダヤダヤダヤダ...!おぞましいソレを咥えたり 触ったりしてる画面の中の女の子は全然自分に重ならない...。

カンカンカンカンと 何かを蹴る音が聞こえてきたが、オッサンの冷たい目に 覚悟を決めた。嫌いな野菜を食べる時みたいに、恐る恐る口を開いた時...



「◎ちゃん!何処だい!?」

「◎!」



ヒロトさんとリュウジさんの声だ...!オッサンの身体は強張りしばらく玄関を見つめ ゆっくりと 私の方に顔を向ける、声を出したら殺すぞ と言いたげな見開かれた瞳。白目が赤くなっている、台所の横の方に立つオッサンは すぐにでも包丁を持って私の首を切ることが出来るだろう。



「わかるよね?」



こくこくと 頷く私はオッサンの汚い目から、視線を逸らせない。頭をそっと撫でて 私の唇に萎えきったそれを 滑らせた、身体をカチカチに強ばらせて私は 最後の抵抗...唇を固く固く閉じた。ギュッと力の入る指が私の頭皮をギリッと傷付けて、目には怒りの色が。

その時。

着信音が鳴った、最近流行りの曲が 暗い部屋を明るく照らすかのように鳴り響いた。



「ッ!◎ちゃん ココだね!?」



ドンドンドンドンドンと強く強くドアを叩くヒロトさんの初めて聞く声...。初めてこんなに泣いちゃってるかもってくらい 大きな涙がボロボロと落ちていく。

優しいヒロトさんの緑の瞳を早く見たい...ごめんなさい、ごめんなさい。私を助けて...!



「ヒロトさんっ!!!!助けて!」

「こいつ...ッ!」



おっさんは私を蹴り飛ばして、ベランダに出ていった。薄く オッサンのようにだらしのない壁はヒロトさんとリュウジさんの力強いキックで蹴破られた。



「...!?◎ちゃん!?」



久しぶりに見た 眼鏡をかけていないヒロトさんの瞳、大きく見開かれたその瞳に「ヒロトさん...!」と泣きじゃくる。



「...◎ちゃん、何でこんなことをしたんだ」

「ごめなさい...」

「まあまあ、ヒロト とりあえず警察に電話しよう」



玄関の方に丸められていた私のワンピースを拾い上げて優しく着せてくれるリュウジさん、リュウジさん越しに見える ヒロトさんの顔は見たことないくらい怖い顔をしてる。

めちゃくちゃ 怒ってるじゃん...。



「◎ちゃん 大人はね、危険なんだよ」

「ごめんなさい...」

「ヒロト...」

「緑川すまない ちょっと黙っててくれ」

「...ヒロトさん、ごめんなさ いってば」

「君はいつもそうだ」



両方の肩を痛いくらいに掴まれて 揺さぶられた、緑の瞳は 今 何色か分からないくらい怒りで揺れている。



20180306

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