へたっぴ

彼女と前に進みたいと思うのは男として当然だと思う、好きだからこその感情だから 凄く清潔なものだと思う。だけれど 1人で突っ走ってやるものでも無いから 不安になってしまって、触れられずに 時間が経ってしまった。

少し季節が変わった、夏が近い。

星が瞬くあの夜に伝えた言葉が褪せてきたような気がする、無かったことにしたくないからこそ 俺は〇と前に進みたいんだ。



「〇、おはよう」

「おはよう 万作君」



綺麗に整った眉を少し下げてクシャッと笑う彼女、今日も元気が出てきた...なんて 自然と手を繋いで学校へ向かう。



「お二人さん お熱いねー!」

「おはよう 大谷ちゃん!」「おはよう」



大谷のおかげで付き合えたようなものだから、どれだけ茶化されても くすぐったい程度にしか感じない。

三人で校門を通り下駄箱へ、じっとりと暑い校舎の中...◎と手を離した。



「今日は部活早めに終わるって監督言ってたね、どこか行く?」

「そうだな どこか寄って帰ろう」

「それまで 我慢だね、」



俺の小指をすりっと撫でて彼女は 少し寂しそうに笑う、ドキン と高鳴る心臓。部活も教室も一緒だと言うのに 寂しいなんて、可愛過ぎるだろう。



「俺も我慢する」

「...ふふ、万作君 すき」

「おま、え...ズルい奴」


「もしもーし あれ?お二人さん、私のこと見えてない??」



大谷の声にハッとして二人して1歩離れた、大谷を見れば「二人とも同じ顔してますよ」なんてケラケラ笑って 教室に向かった。



「...恥ずかしいところ見られちゃった」

「気を付けような、」

「うん でも 本当に好き、万作君」

「照れるからやめてくれ」



グイっと帽子のつばを下にして顔を隠せば、嬉しそうな笑い声が聞こえた。






▼




放課後、部活もおわって 制服に着替えた私達は手を繋いで校門を抜けた。商店街に行って 少しお茶して、スポーツショップで万作君の買い物に付き合って...いつも通りのデートをした。

これだけでも幸せなのは幸せなんだけど、やっぱり もう少しだけ前に進みたいなぁ...ちらりと私よりも背の高い彼の横顔を見た。

綺麗な鼻筋、優しい目 かっこいいなぁ...



「見すぎじゃないか?」

「あっ」

「...どうかしたか?」

「いや、その...」



ええい 女は度胸だとなにかの映画で言っていた気がする...!万作君の手をぎゅっと握って引っ張ってみた。



「どうした?」

「あ、の......キスしてみたい、です」



30秒ほど静かになってしまった。

私やっぱりまずいことを言ったのかな、人通りの少ない場所をわざわざ選んで帰っているのは万作君も同じ気持ちだと思ったからなんだけど...。


不安になって下を向いたら、彼の声が頭から降ってきた。



「俺も お前とキスしたい」

「...ほんと!?」



すとんと 近くにあったベンチに、どちらとも無くふらふらと向かって座った。キスしたいって言葉を言うだけでこんなに足が震えるのに、本当にキスできるのかな。

拳三個分程の距離感で私達は向かい合う、ドキドキと激しく動く心臓を早く静めたくて 私は万作君の手に自分の手を重ねた。



「いっ、いくよ...」

「いや 待て こういうのは男から、」

「そうなの?わかった!」



ぎゅっと目を瞑ってどきどきと万作君の唇を待っていた...ら、コツンとおでこと鼻の間に万作君の帽子のつばが当たった。



「...すまない」

「いい、よ!帽子かぶってたら分かんないよね距離感が」

「はぁ...」


「わ、私もチャレンジする」



恥ずかしそうにしている万作君目掛けて私は唇を尖らせた。




▼




「あれっ」



俺が失敗したように、彼女も目を瞑ったまま近付いてきたせいで 唇じゃなくて顎にキスをしてきた。なんと、可愛らしいんだろうか...。

これでも充分 満足したけれど二人して目が合って、大笑いしてしまった。



「〇、俺達には早かったのかもな」

「そうだね...でも、もう1回だけ...試したいかも」



語尾が小さくなる彼女、そっと頬に触れてみた。唇に触れるのがこんなに難しいなんて思いもしなかった、少しだけ帽子のつばをズラして彼女に近付いた。



「いくぞ」

「うん、」



鼻と鼻がぶつからない様に、少しだけ顔を傾けて 唇を重ねた。今度は成功したが どのタイミングで唇を離そうかと考えていたら、ぷはっ!と苦しそうな声をだして〇は真っ赤な顔で 俺から離れていった。



「く、くるしかった...けど成功したね!」

「ああ なんか、思ってたのと違う感じだったけど...お前とキスできて本当に嬉しい」


「私も...これから、いっぱい しようね」



唇をきゅっとしめて、上目遣いで俺を見る〇の甘さにクラっと頭が重くなった。もう1度だけ、してもいいだろうか。




20180523(キスの日企画)

ロイ様、今回も企画への参加誠にありがとうございます!

いつもありがとうございます!今回も万作との事だったので こちらの方お話しを(告白の日)繋げてみました。
前に進みたい二人が互いに歩み寄るも、初めてのキスがうまくできない ちょっとポンコツなところを書いてみました。中学生の恋愛を必死に思い出したのですが、全く思い出せなかったので 万作君にはこんな初キス迎えてほしい...という私の妄想ですが...!

お時間ある時で結構ですので、ご感想頂けると嬉しいです...!頻繁にリクエスト募集しますので、気になるなーって企画ありましたら是非またご参加くださいませ。改めまして ありがとうございました!