欲張りはよくないらしいけど
「デートしろよ」「デートに行かないかい?」
アツヤ君と士郎君の声が重なる、あれは昨日の事だった...。部室のベンチでズイっと二人に迫られ恐怖に羞恥にと 眉を垂らしていたら「明日教えてよね」と士郎君の声が...。
明日 ということは、今日。二人へ返事しないといけないと言うのにどちらと出かけるか決められずにいた、もう二人共断るしかないなぁなんて 考えていたら背後から首をヒヤッと掴まれた。
「きゃっ!」
「あはは ビックリした?」
「士郎君...?!」
爽やかに笑う士郎君を恨めしく見つめれば「ごめんごめん」と 謝る気なんてサラサラなさそうな声で私の頭を撫でる。
「...で、返事は決まったかい?」
「いえ...」
「クリスマスは2日あるから 2日に分けたらどうだい?」
何故それを昨日提案してくれなかったのだろうか...私はコクリコクリと二度頷けば、士郎君は満足気に帰っていった。
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雪だるまみたいな格好して来ると思ったら、少し薄着気味の◎の姿が...。
「お前バカかよ...!気温何度だと思ってんだよ!」
「え!?だって デートだし...こういう格好しないといけないと思って、気に入らなかった?」
短いスカートから伸びる厚手のタイツにすこしだけ踵の高いブーツ、いつもよりも大人っぽく見える◎の姿。雪だるまにするのは勿体無いと思った俺は「時間ねえから それでいい」と言って◎の腕を引っ張った。
「あ、お前 これ巻いとけよ」
「マフラー?」
「首冷やすと風邪ひくって母さんが言ってた」
「...ありがとう、アツヤ君」
俺からマフラーを受け取って◎は嬉しそうに首に巻くと、俺の横をちょこちょこと着いてきた。イブの日だからか観光客カップルまでいやがるから 混んでて嫌だぜ、と思いながら俺達は動物園に向かった。
「アツヤ君 レッサーパンダみにいこうよ!」
「先ずは シロクマだろうが」
「えー!先にレッサーパンダ!」
「...仕方ねえな、次シロクマだからな」
やったーと笑う◎の後ろをついていけば急に立ち止まったせいで、後頭部に鼻をぶつけた。
「いってえな...」
「ごめんごめん ミルクアイス食べたい、買ってくる!」
「はあ?俺が払うから待ってろよ...ってか こんな寒いのにアイス食う気かよ」
「寒い日こそアイスでしょ?」
「ロシア人かよ」
店員の女からミルクアイスを一つ受け取って◎に手渡せば「いただきます、ありがと!」と笑う。その顔に照れくさくなって背中を叩いてやった。
「やっぱり さむいよ...」
「馬鹿だな ホラ、ポケットの中手突っ込めよ」
「...あったかぁ」
「お前のためにカイロいれてきた」
自分で言っときながら恥ずかしくなった俺は◎よりも前を歩いた。
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「それでね、アツヤ君 シロクマ見て興奮しちゃって私のアイス落としたの!」
「あはは アツヤはまだまだ子供っぽいからね、でも楽しかったみたいでよかったよ」
昨日デートしたアツヤとの思い出を 俺達の気を知らずに楽しそうに話す◎ちゃん、美味しい紅茶の匂いが鼻腔をくすぐる店内で 俺達は暖かな休日を過ごしていた。
「ここの紅茶すごく美味しいね...お砂糖いれなくてもほんのりあまい」
「君の為に 調べたんだよこのお店」
「本当に?」
「寒い日に 暖かいところで過ごす時ってとても幸せな気持ちにならないかい?」
紅茶の後味がさっぱりと鼻を抜ける、少し遅めに待ち合わせをしたおかげで外はもうすっかりと暗い。彼女は紅茶と一緒に頼んだクッキーをゆっくりと大切そうに頬張る中、どうやってキスしてやろうかな と考えた。
「この後 イルミネーションでもみながら散歩するかい?」
「素敵だね」
「素敵な君にピッタリなデートだろ」
「...恥ずかしい事言わないで」
飲み終わったティーカップを机の端に置いて彼女は「ご馳走様でした」と笑った、お会計をして外に出れば ホワイトクリスマス 雪がふわふわと降り出す。
「神様が ロマンティックにしてくれたね」
「士郎君女の子に毎回そんなこと言ってるの?」
「君にだけさ」
ほら、手を差し出せば 少し考えながらも手を握ってくれた彼女の手を引いて 歩き出した。イルミネーションがキラキラと雪を照らして まるで、グリッターが降ってきたように俺達を光らせる。
「綺麗だね」
「うん...素敵、」
うっとりと 光を目で追う彼女の髪にキスをすれば、◎ちゃんは俺の肩をごつんと少し強めに殴って 真っ赤な顔を見せた。アツヤには悪いけど 俺が貰うよ。
20181231[冬の恋]
匿名様 企画参加ありがとうございました!
どっちか?どっちも書いちゃえー!と思って二日に分けてデートさせてみました。
2019年もよろしくお願いします!