幸せな色を重ねていく

 深緑のニット帽に防寒対策バッチリと言いたげなダウンの先にある冷たそうな手を気怠そうに私に振る明王君、明王君に近寄れば私の後頭部をグッと掴んで外だというのにキスをしてくる。あまり人がいない時間だからといってもちらほらと人はいるし見られている、私は細いくせに力の強い明王君を自分から引き剥がして少し熱くなった頬っぺたを冷えた手で包む。

「なに照れてんだよ」
「照れちゃうのは仕方ないよ、明王君のせいだよ」
「キスしたくなかったか?」
「そういうわけじゃないけど」
「じゃぁいいじゃねぇか ほら、行くぞ」

お昼時のクリスマスは久しぶりだ、私はまだ少し熱い頬っぺたの原因を思い出して少し恥ずかしくなりながらも明王君の手に自分の手を重ねる。

「何食いてえ?」
「あったかいの」
「あったけえの・・・あーラーメン?」
「ラーメンいいね」
「いいのかよ、クリスマスなのに」
「うん いつ食べても美味しいしラーメンは」

特別感はないけれど、結局明王君と一緒にいれたら何食べても美味しいからなぁ。そう言えば彼は少し照れくさそうに笑って「行こうぜ」と言った。


 ズルズルと2人のラーメンを啜る音がカウンターに響いてる、レンゲでスープをすくってネギと麺を少し箸に挟んで一気に口に放り込むと美味しくて頬が緩む。明王君は暑くなったのかニット帽を脱いで膝の上に乗せた。

「美味いな、ココ」
「うん 初めて来たけど美味しいお店でよかったね」

口の中でネギとほんのりと香る胡麻の後味が私をラーメンの虜にしていく、ズルズルともう一度麺を啜れば明王君は私の口元をじっと見つめる。

「・・・どうしたの?」

私が明王君の瞳を見つめれば片眉を上げて彼は「教えねぇ」と笑った。





 ラーメンを食い終わって店を出ればさっきよりか少しマシになった寒さに欠伸が漏れる、ニット帽をかぶり直して俺は◎の手を握って少し増えた人を避けながらデケェクリスマスツリーがドンと立っているチェーンのコーヒーショップ前に移動した。

「ほら、写真撮ってやるから行ってこいよ」

周りをキョロキョロ見て恥ずかしそうに俺を見る◎の背中を押してクリスマスツリーの前に立たせる、スマホを向けて何枚か撮れば小走り気味に俺の元に帰ってきて◎は「もういいからー」と眉を垂らした。

「佐久間達に送るわ」
「やめてよー・・・!」
「嘘に決まってんだろ、これは俺しか見れねぇよ」

ベェっと舌を出せば◎は少し怒ったようにだけれど面白そうに笑って「新作飲もう」とカフェを指差し笑った。


 あんめぇ〜・・・、馬鹿甘い新作のフラッペのせいで舌も喉も焼けてしまう。俺は砂糖の化け物を◎の手元に戻して自分が頼んだホットコーヒーに口をつける。甘いホイップを優しく洗い流す苦いコーヒーに喉を救われた。

「お前本当によくそんな甘いもん飲めんな」
「おいしいよ」
「不味ィわ」

美味しいのになぁと誰にいうでもなく幸せそうに笑う◎、俺はそんな顔を見ながら火傷しそうな程熱いコーヒーを冷ましながらゆっくりと飲んだ。外は少しだけ暗くなって、人が増えていく。店内も空いていたというのに今じゃこんなにも人でごった返してる。

「この後何してえ?」
「この後ねぇ・・・お友達にあげるクリスマスプレゼント買ったりとか、ケーキ食べたりとか、それと・・・」
「それと?」
「久しぶりにプリクラ撮りたいな」

照れくさそうに顔を傾けてそう言うとストローに見立てたクッキーをヒョイっとフラッペから抜き取り齧る◎。

「いいぜ」
「本当?」
「プリクラだったらキスし放題だしな」
「・・・明王くん」
「お前はしたくねぇの」
「し、したいよ」

素直にそう言って◎は透明な太いストローをさしてじゅーっと音を立てて激甘なバケモンを勢い良く飲んだ。




2019冬の恋企画

もちみ様、この度は企画参加ありがとうございます!
不動君久しぶりに書いたのでとても楽しかったです、不動君はクリスマスだからといって特別なことをしなさそうだなぁと勝手に思っているのでラーメンを食べてスタバ行ってみたいな ほのぼのしたデートのお話にしてみました。いかがだったでしょうか?
楽しんで頂ければ幸いです💌

これからますます寒さ厳しくなっていきますのでお体ご自愛くださいませ♪それでは、これからもよろしくお願いいたします!