「小夜ちゃん、何か欲しいものあるかい?」
「欲しいもの?今は特に……あ、もしかして誕生日プレゼント?」
「はは、バレちまったか」
サンジはバツが悪そうに笑った。小夜の誕生日はもう1ヶ月に迫っている。
サンジとしては、会話の中でさり気なく聞くつもりだったのだろうが、小夜はサンジの思惑に気が付いてしまった。
「ふふ、なんかごめんね。でもそうだなあ、誕生日プレゼントか……うーん……」
「そんな難しく考えなくていいんだぜ?洋服でもアクセサリーでも、なんでも好きなもの買ってあげるからさ」
サンジの問いかけに小夜はウンウン唸っている。
洋服もアクセサリーも、サンジから貰えばなんでも嬉しいが故に、小夜は困ってしまった。
「それなら、サンジさんの手料理が食べたいです」
「え、料理ならいつも作ってるし……もちろん誕生日はとびきり豪華な料理にケーキも作るつもりだけど……」
「はい、それでいいです」
「って言ってもな……」
小夜の答えが予想外だったのか、サンジは困惑した様子だった。
だがサンジも納得した訳ではなく、他に欲しいものがないかあれこれ小夜に聞くが、小夜は首を縦に振らなかった。
「小夜ちゃんは欲がないなあ……」
「そうですか?結構欲張りだと思いますけど……」
「俺の手料理なんて、小夜ちゃんに頼まれたらいつでも作るぜ?」
「ふふ、違うんですよ。特別な日に、大好きな人が私の事を想って美味しい料理を作ってくれるなんて、これほど嬉しい誕生日プレゼントはないです」
「小夜ちゃん……俺も大好きだああああ〜!」
サンジは目をハートにさせながら小夜を抱きしめる。
そんなサンジをくすくす笑い幸せを感じてながら、小夜もサンジの背中に腕を回した。