dreamily




ガチャ――


そっと家の扉を開ける。それはまるで泥棒が他人の家に入る様に。
しかしそこはクラウド―本人の家。彼がそうして家に入るのにはワケがあった。

携帯の時計を見ると時刻は夜中の3時を回っている。近所の目もあるし静かにするのは当たり前。…それよりも、部屋の中でおそらく夢の中にいるであろう人物を起こすまいと思ったのが一番の理由である。


「……、」


扉を開けると当然部屋の中は真っ暗で、静寂が広がっていた。玄関の明かりだけを灯し、それを頼りに部屋の中へ進んで行こうとした、…その時。


ドガッ――!!


「いだっ…!」


するはずのない音と声が部屋の中に響いた。いささかクラウドは驚いたが暗闇に慣れてきた目でその方を見やると、そこにはパジャマ姿で今頃夢の中にいるだろうと思っていた人物が、膝を抑えて座り込んでいた。





dreamily






「…アイル?」


クラウドがその名前を呼ぶと、アイルは膝をさすりながら顔だけをクラウドの方へ向ける。


「クラウド…」

「どうした?大丈夫か?」


クラウドはゆっくりアイルに近づき、同じ様にしゃがんだ。
痛いと言って膝を抑えているアイル。先ほどの音からして暗闇で見えず机か何かに膝をぶつけたのであろうことが容易に想像できたが、…なんとも鈍臭いやつである。まあそんなところもクラウドには可愛く見えてしまうのだが。


「起きてたのか?」

「んーん。寝てた」


そういうアイルの声は夢の中。


「待ってたんよ。…せやけど何時の間にか寝てしもてた……待ってようと思たんよ…?」


そう言いつつ寝て行きそうな彼女が愛おしくて、クラウドはアイルをお姫様抱っこし寝室へと運んだ。アイルは自然にクラウドの首に腕を回しその肩に顔を埋める。
シャンプーの香りがフワッと漂う。あぁ、アイルの匂いだ。久しぶりのアイルの匂い。


「遅くなってすまない」

「いーよ。お仕事、たいへんやもん…」


ぎゅうと音がしそうなくらいアイルは腕に力を込める。言葉とは裏腹に体は正直だ。本当は淋しかった。でも言わない。それを言ったらクラウドが困るってわかりきってるから。


「クラウド…」


ベッドに降ろされるもアイルはそのまま腕をクラウドの首に回したまま離さなかった。
その為クラウドはアイルの前にしゃがむ形になり、体制がしんどくなるので結果的にアイルの上に覆いかぶさる。
そして、どちらからともなく唇が重なる。軽いキスを一つかわして、クラウドがアイルを見つめた。


「クラウド?」

「ん?」


柔らかい彼女の髪を撫でる。アイルはそれにまたウットリして眠そうにゆっくり瞬きをした。


「おかえり」

「…ただいま」


優しく微笑むアイルの頬に手を添えて、クラウドはもう一度口付けた。

どんなに疲れて帰ってきても、アイルの笑顔とその声が自分を癒してくれる。
アイルがいればなにもいらない。アイルが自分の全て。その顔も、その声も、その唇も、その腕も、全てが愛おしい――


「んっ…」


次第に深くなるそれにアイルが呼吸を求めて声を漏らす。それに気分を良くしたクラウドはどんどん大胆になっていき、頬に添えていた手を首筋からその胸の膨らみに移していった。ピクッとアイルが反応を示し、それがまたクラウドの熱を駆り立てる。
…しかし、絡めあっていた唇の間にアイルの指が入り込み何故かそれを中断させられてしまった。


「…ダーメ」


そう言って意地悪い笑みを浮かべるアイル。


「…なんで?」

「クラウド、お風呂入ってない」


ここまで来てそれを言うか。クラウドは一瞬動きを止めたが、アイルの頬にキスを一つ落として首筋に顔を埋めた。


「っ…クラウド…!」


スゥと舌を這わすとアイルが過敏に反応をする。
アイルと付き合ってからもう幾月もたっているが、何度も体を重ねあっているのにいつまでたっても初心な反応を示してくれる彼女がとても可愛いくて仕方がない。自分だけに見せてくれるその顔。自分だけに聞かせてくれるその声。全て、全てが自分だけのモノ。そう思うと一気に気持ちが高ぶっていく。これも毎度毎度お決まりだ。いつもそう思って、いつも嬉しくなって、どんどんアイルにはまっていく自分がいた。


「ん…やぁっ…クラ――」

「アイル」


クラウドがアイルの唇を塞いだ。


二人の時間は、まだまだこれから――



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