ダ・ヴィンチちゃんがまた先日、良からぬ物を作ってしまったらしい。対サーヴァント用で効き目は抜群の惚れ薬らしい。小さな小瓶に液体が並々と入って、飲ませても良し部屋に霧吹き状に散布しても良し。作った本人曰く「寝てる間に美月ちゃんの髪の毛採取したから、どんな強敵サーヴァントもイチコロさー!」なんて口にしていた。

それは困った、そんな効き目抜群の惚れ薬をしかもあのダ・ヴィンチちゃんの事だから危険でえってぃ成分とか入り交じってる可能性もあるだろうし、迂闊にこの惚れ薬を使うわけにもいかない。そうだ!誰かに相談しよう、そうしよう!

というわけで、使いたい半分使ったら後が怖そう半分って思いつつギルガメッシュの部屋を訪れる。

「どうした美月、今日は一日ゆっくり部屋で寝てるのではなかったか?」

ベッドの上で優雅に雑誌を見つつ、目だけではこちらを見るギルガメッシュ。絆MAXにするまで幾度となく罵声に怒声を浴びせられてきたが、今となっては普通に会話をしてくれるようになった。

「王様が興味を引くものを持ってきました!ダ・ヴィンチちゃん特製(怪しい)惚れ薬なんですけど、試してみませんか?」

「ほう。貴様面白いが、我に毒を盛るつもりか?」

美月が手にしていた小瓶を手にすると、先程読んでいた雑誌をバビロンへと放り投げ何の躊躇いも無く小瓶の蓋を開ける。

喉に流し込もうとしている王様を慌てて止めるが、こうなってしまったらなるようになれ、と思い止めるのも馬鹿馬鹿しく思いそのまま見守る事にした。

空になった瓶を返され、ゆっくりと王様の顔を窺うと先程と変わらず冷静でいる。私が間抜けな顔で凝視していたのか鼻で笑われる。

「え、王様。何とも無いんですか?」

「なんだ、我に惚れてほしかったか?」

まあ少しは期待しましたけど、なんて小声で言うと柔らかく笑う王様に恥ずかしながらキュンとしてしまい、ベッドに上がれと言われ靴を脱いでお邪魔する。

「王様にはやっぱり、薬でもダメなんですね…少しは、少しくらいは……わっ!」

腕を急に引っ張られたせいか、王様の胸元に顔を埋める形になり王様の心音が耳に心地よく聞こえてくる。少し早いような気がする。

顔を上げて王様を見ようとすると、空いてる手で再度下に向かせられる。これはもしかして…

「王様、もしかして今…私が愛おしくて大好きで、仕方ないです?」

「喧しいぞ、雑種」

そう言って隙間から見えた王様の頬は耳は少し赤く、ああこれは後で怒られるなって思ったら笑いが漏れた。




好きを盛れ
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