終わらない結末もあるのね

きっと寂しかった。でも寂しかったとは言ってあげない。言ったら、あなたの事を好きだと自覚してしまうから。

お兄ちゃんの影に隠れて、背の高い彼女を見上げるのは少し疲れるくらいにしか思っていなかったのに。
優しくワタシの髪を梳くから。
暖かくワタシの頭を撫でるから。
先に甘えさせてくれたのはあなたなのに、ずるい。あなたに湖の乙女という、大事な役目があったのはわかっていた。わかっていたからこそ、お兄ちゃんが居なくなっても、あなたがここに来てくれなくなっても、邪魔にはなりたくなかったの。だから静かな山でひとり、あなたを想い続けた。邪魔にならないかわりに、想い続けることだけは、どうか許してほしい。

人間は嫌い。自分勝手で、お兄ちゃんも、あなたも、人間が遠いところへ連れて行ってしまった。そのうえ、どうしてあなたが辛い思いをしなければならないの?そんな人間、ワタシが甚振ってやるんだから。だって、ワタシもあなたの力になりたかったんだもの。
湖の乙女と呼ばれているあなたは、ワタシには少し眩しい。レディレイクであなたを起こすのは、ワタシだったらよかったのに。傘ではなく剣で戦うワタシなんて、きっとあなたは笑うかしら。それとも、似合っていますと微笑んでくれるかしら。導師なんてものに興味は無いけれど、あなたの傍に居る方法としては良い考えだと思わない?

未だ聖堂で眠っているであろう、あなたへ。言いたいことが沢山あるのよ。首の疲れる角度を忘れる前に、早く逢いに来て。
その時に、今度はちゃんと、寂しかったとライラに伝えるから。



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