04 -欲しいもの-




好きだから、貴方が欲しい。

欲しいから、手に入れてみせる。


選択肢なんて…ないのよ――?








Link.03 -守る意味-

(side:亮子)













『悪いけど…俺は君とは付き合えない』

「どうして?」

『彩愛は俺が守るから、そんな取り引きは要らないよ』

「…そう」



幸村くんは、大海彩愛がそんなに大事なの?

何だか物凄く気に食わない。

私があの女より劣ってるって言うの?

私が手に入れられない物を、あの女は持ってる。

私が手に入れられない物…


ううん、そんな物は無いわ――。



「大海さん、ちょっと良いかしら?」

『…はい』



またか、って顔してるけどね?

今回はちょっと違うわよ。



「悪いけど、じっとしててね」

『――…!』



ナイフを取り出した私に、ビックリする彼女。

大丈夫、傷付ける気は無い。

ただ…幸村くんの彼女になる権利が欲しいだけ。


ガッと、彼女の髪の毛を掴む私。

綺麗な髪の毛…。

少しだけ、頂戴するわね?



――ジャキッ…



…やっ…!

「あら、切りすぎちゃった」



ロングがショートになっちゃったわね。

…ま、いいか。



『…伸ばしてたのに…』

「それはそれは、ごめんなさいね?」

『――…ッ』



彼女は涙を堪えながらこの場を去っていった。

その時、


『彩愛?』


遠くの方で聞こえたこの声。

ナイスタイミングね。

私はニヤリと笑った。



――ガチャッ



そして彼は屋上へやってきた。

今、私が欲しくて欲しくて堪らない彼。



いらっしゃい、幸村くん?



幸村精市…。

嫌でも私の物になってもらうわ。



『…その髪…』

「ええ、彼女のよ。だって、言ったわよね?付き合ってくれるなら彼女に手を出さないって。でも貴方がそれを拒否したんじゃない?」

『…何が目的?俺と付き合って、何のメリットがあるって言うの?』

「メリットなんて要らないわ。私はただ、貴方が好きだから付き合いたいだけ」



それで大海彩愛が悲しむなら、もっと最高だわ。

欲しいものが手には入って、嫌いな奴が不幸になる。

これ以上嬉しい事は無い。



「今貴方がもう一度断ると言うのなら、彼女はもっと大変な事になるかもね?」

『………』

「守りたいのならどうするべきか、貴方なら分かるでしょ?」

『…わかった』



そう、それで良いのよ。

私は知ってるの。


貴方が大海彩愛を好きだと言う事を。


貴方のその目、絶対私に向けてみせる。

大海彩愛より私の方が良いって、

絶対に言わせてみせる。

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