最終話 何よりも大切な日々だった。



私は貴方達が大嫌いでした。





『愛理に何したんだよ!?』


『愛理に謝れや』


『愛理を虐めた分、ツケが返って来たんだよ』




出会った頃の貴方達は、


愛理愛理愛理愛理

呪文のようにそう言ってた。



だけど…




『俺はもう、間違いは起こしたくねえ』


『みんな愛理ちゃんに騙されてるんだよ!』





少しずつ…少しずつだけど、


何かが変わってきた。






『亜美…悪かった』





一人一人が自分の犯した過ちに気付いた時、


暗闇に一筋の光が差し込んだ。




深い深い闇が、少しずつ明るくなって


ずっとずっと霞み掛かっていた霧が


どんどん薄れてきて







『絶対絶対、私は這い上がって来てやる…!その時は、覚悟しなさい』








今では雲一つ無い快晴が、


私達の上で微笑んでいる。





ありがとう。






いつかまた、会えるよね…――




































私は貴方達の事が大好きでした。





『お前は俺達の大切な仲間だぜ!』


『亜美がおると、明るいなぁ』


『亜美先輩は素直ですね』


『いつも…ありがとう、ございます…』


『亜美ちゃん、一緒にお昼寝しよー!』


『元気だせよ、ばーか』


『好きなんだよ、亜美のことが』





岳人、侑士、長太郎、樺地、ジロー、景吾、亮…そして私。


みんながいて、私がいて。


楽しい毎日が何気なく過ぎていく筈だった。



けれど…







『清水亜美、悪いけど消えてくんない?』






何処かで歯車が狂った。


何かが崩れ始めた。







『お前なんか誰も必要としてへんのや』






私の存在理由が無くなった時…全てが崩壊した。


否定して否定して否定し続けても、






『面倒な事にならねえうちに謝っとけよ』







誰一人信じてくれる事は無く。


完全に、生きる希望を失った。





そんな時、微かな光から…声が聞こえたんだ。








『亜美…』






信じる事をやめない。


疑う事を知らない。




私はそんな彼女に救われた。






氷帝テニス部にとって、

貴方は大きな存在になったんだよ…――























私達は






大好きな親友を

傷付けた奴等が許せなかった。

大好きな親友に

危ない事はして欲しくなかった。




だから私は復讐をしにやってきた。


だから私は全力で止めたかった。



ねぇ、亜美。

ねぇ、優衣子。






貴方は何よりも大切な存在なの。







助けてくれた貴方が


希望をくれた貴方が



大切な仲間と一緒に


これから幸せになることを




心から願ってるからね。



色々あったけど



たくさん涙を流したけど


此処に辿り着けて良かった。





私達が経験した日々は


何よりも





―何よりも大切な日々だった―






-END-


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