正々堂々


「赤也…」

『だ、大丈夫ッスか!?』



心配そうに私を見つめる赤也。


私は…お前にだけはこんな姿

見られたく無かったぜ――。
















(STAGE.34 -正々堂々-)













『桃城…テメェ…』



赤也は私を守るように前に立つ。

マジで…やめろよ。

お前の前では、いつまでも頼り甲斐のある先輩で居たかったのに。

守られるなんて柄じゃねぇんだよ。



『明奈先輩に何すんだよ』

『うっせー!お前は関係ねぇだろ!?』

『ふざけんなっ!明奈先輩は…たった一人の、俺らのマネージャーなんだよ…ッ!

!!




あーあ、大暴露。

本当にアンタは、私の思った通りに行動してくれねぇよな。



「どきな、赤也」



私は立ち上がり、赤也を横に押す。



「確かに、私は元立海テニス部のマネージャーだ。だけど…コイツは関係ねぇ」

『なっ、明奈…!』

お前は関係ねぇんだよ、赤也。他人事に首を突っ込むな」

『……ッ…』



赤也は悔しそうに唇を噛み締める。

悪りぃな、赤也。

自分の事で、お前らを巻き込みたくない。

お願いだから分かってくれ。



『なるほどな、そうゆう事かよ』

『何故立海がそちらについたのか、これでハッキリしましたね』



宍戸、鳳が口を開く。

二人の目は確実に赤也の事を敵対視していた。

いや、コイツらだけじゃない。

此処に居る奴らのほとんどが…。


ヤバイな…。




「立海も四天宝寺も、確かに仲間だ。けどな…コイツらはお前らに何もしない、無害なんだ」



だから、絶対に何もすんなよ。

そうゆう意を込めて、私は青学と氷帝の面々に布告する。













『――もう…いいっしょ…?明奈先輩…』

「…え?」

『先輩の正体もバレたし…もう良いじゃないッスか!』



力強く、私の二の腕を掴む赤也。

必死に何かを訴える目には、少し涙が溜まっていた。



『何でアンタはいっつもそうなんッスか!?』

「あ、赤也…?」

『俺らチームメイトッスよ!?なのに何で……なんで一人で抱え込むんだよ…ッ!



赤也の手からヒシヒシと伝わってくる。

その気持ちに、何だか胸が熱くなった。



『そんなに俺、頼りないッスか!?』

「そ、そんなんじゃ…」



迷惑を掛けたくない、その一心なのに。

みんなを傷付けたくないと思えば思うほど、傷付けてしまう。


私は…どうすれば良いんだよ?




『俺達立海は…アンタらに宣戦布告します』

「なっ…!?」



何言ってんだよ、赤也…!

そんな事言ったら、何されるか分からないんだぜ!?



『ですよね、先輩達』



赤也は部屋の入り口の方を見る。

そこには立海のメンバーが揃っていて。

その存在感がいつもにも増して大きく見えた。



「いつの間に…」



私は半ば呆れ顔で、彼らを見ていた。

敵わないよ、アンタ達には。



『頼もしくなったもんだな、立海のルーキーも』



幸村が微笑みながら、その言葉を赤也に向けた。

もはやコイツはルーキーじゃないだろ…。

私の中で一番の問題児だよ。




『ほんなら、俺達も正式に宣戦布告させて貰うで』



立海が揃っている後ろから出てきたのは…やはり四天宝寺。

白石が不敵に、且つ挑戦的に笑っていた。



「何でお前らまで…」

『俺が呼んだんだ。面白くなりそうだったからね』



ゆ き む ら ぁ あ !

これは遊びじゃないんだぞ!



『なんや、乱闘かぁ!?ワイは負けへんでぇ!!』

『乱闘なんて俺はパスっすわ』

『アホ、俺らはスポーツ選手なんや。やるんやったら、テニスで正々堂々とや』

『んまっ。謙也くんカッコイイv』

『小春…!』




オイオイ、何だよこの流れは…。




『テニスで正々堂々と、ね。面白そうじゃの』

『そうゆう争いなら清々しくて良いですね』

『うむ。勝つのは我々立海だがな』

『あったりまえだろぃ☆』




まさか…




『…と言うことで、君達に団体戦を申し込むよ』





やっぱり…っ!!

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