大阪へようこそ


そして、大阪に着いた私は、家…いや、別荘…?

じゃない、お城…に辿り着いた。
















(STAGE.04 -大阪へようこそ-)








ふ、ざけんじゃねーよ!

何だよ、このデカイ家!

一人で住むんだぜ!?



『お帰りなさいませ、明奈お嬢様』

「はっ…!?」



な、お嬢様!?

柄じゃねーだろ…。

ど、どうなってんだ?これは…。



『お帰り、明奈』

「お…母さん…」



久々に会った母の姿は四年前とあまり変わりはなく。

強いて言えば…少し、痩せたような…そんな印象だった。



「…あ、えっと…」



久しぶりに再会した母に、私はどう言葉をかけて良いのか分からなかった。

勝手に家を飛び出した無責任な私が…かける言葉なんて、ない。



明奈っ

「え、ちょ…!」



いきなり母が抱きついてきた。

私が母の背中に手を回そうとすると、母は少し震えていて。

泣いているのだと、直ぐに分かった。


ごめんね、お母さん…――





『生きてて…良かった』

「お母さん…」



あぁ、母親の温もりって…こんなに気持ち良かったっけ…。





『アナタは…死なないで…』

「…え?」





お母さん…今何て言った?

アナタ、は…?





「ちょっと、お母さん…」

『ご…ごめんなさいね。ちょっと涙腺が緩んでて…困らせちゃったわね』

「いや、別に…」



なんだろう、何かがおかしい…。

一体、私が居ない間に…何が起こったの…?



『お母さん、アナタにお願いがあるの』



ちょっと、待って。

凄い違和感。

何だろう、四年前と…何が違うんだろう…。



『実はね、アナタにお父さんの跡を継「お母さん!



そうだ、分かった。

この違和感の正体…。



優奈は!?

『――ッ…!』



笑顔で私を迎える…妹の姿が無いんだ…。

シスコンのあの子が、四年ぶりに帰ってくる私を歓迎しない筈がない。

てゆうか…私もシスコンだからあの子が居ないと寂しいんだけど。



『優奈、は……ね、寝てるわ』

「寝てる…?」

『そ…そう。だから…アナタはひとまず学校に行きなさい』

「ちょ、だって学校は明日から…っ!」

『少しでも早く慣れておいた方が良いでしょ?』

「それはそうだけど…あのっ、お母さん!?」

『夕飯の準備して待ってるわ。それじゃあね』

「ちょっ…!」




――パタン。



静かに戸が閉まる。

今のお母さんの焦り様…何だったの?



「………」



ま、まぁ取り敢えず…四天宝寺に行くか。

どうやら晩まで帰って来んなって事らしいし。

って…四天宝寺って何処なんだよ。






――ドンッ!



「痛てっ」



考え事をして歩いていると、図体のデカイオッサンとぶつかった。



「すんませ『いっってぇー!!



大袈裟だろ、オッサン。

軽くしか当たってねぇだろ。



『ちょっと姉ちゃん。どーしてくれるんや?』

「すんません」

『お、姉ちゃん美人やないか。ちょっとオジサンとお茶せえへん?』

「…急いでるんで」



チッ、このオッサン真っ昼間に酔ってやがる。

酒くせぇよ。



『えーやんえーやん、ちょっとだけ。なっ?』

「い・や・で・す」

『ケッ、生意気なガキや。ちょっくら相手するだけでええんや、おとなしく来い!』

「ちょっと、オッサン…。しつこいんだよ」



ぶっ飛ばしてやっか。

と、思ったその時



ちょっとゴメンなぁ、おっちゃん!!

『なっ…!』



少年が降ってきた。

そして素早く私の手を取って走り出す。



「ちょ、ちょ…ボク!!」



何だ、このパワフルな小学生は。

ってか!何小学生に守って貰ってんだ、私!



『よーし!ここまで来れば大丈夫やろ!』

「さ、サンキュー…」



それよりこの子…こんな時間に何してるんだろう?

学校サボってんのか?



「あ、あのさ…君、学校は?」

『学校?今昼休みやねん』

「昼休みにこんなとこで何してるの?」

『それがなー、お弁当忘れてもうて、ダッシュで買いに行っててん!』



お弁当?

最近の小学校は給食も出ないのか?



『ワイ、遠山金太郎言いますねん!よろしゅう!』

「あ、っと。北川明奈、です」

『明奈か。明奈は何してたん?あんなオッサンと』

「いや、オッサンには絡まれてただけだから。四天宝寺って学校を探してたんだけど…」

『四天宝寺?中学校?高校?』

「高校」

『ホンマか!ワイが案内したる!』



と、少年はパンを食しながら、歩き出した。

私はその少年の後を付いていくだけだった。

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