四天宝寺高校


『着いた!ここやでぇ!』

「あ、ホント。意外と近かったな」

『入る?』

「え…?」
















(STAGE.05 -四天宝寺高校-)





いやいや、勝手に入ったら不法侵入でしょ!

しかも君早く学校戻らないと先生に怒られるぜ!?



「あの、私の事はもう良いからさ、学校戻った方が良いよ?」

『えぇ?学校此処やん!』

「え?いや、私の探し求めてた学校は此処だけどさ、君の学校は」

『だから、ワイ此処の生徒やねん!』

「………」

『ワイ、四天宝寺高校一年テニス部の遠山金太郎!』

え、えぇぇええぇえええ!!?



嘘だ、小学生だと思ってた!

高校生!?

世の中にこんな可愛い高校生が居るかよ!



『"え"多いわ!』

「す、スマン…」

『てことで、入ってもえーよ!』

「いや、良くねぇだろ!」

『大丈夫や!バレへん!』



なんて言いながら私の手をグイグイ引っ張るこの子の勢いはまるで豹みたいで。

そのお腹に身に着けている豹柄の服そのものだよ。



『あ。ちなみにな、校門から入る時は何かギャグかまさなアカンで!』

「は?」



校門から入る時はギャグかます?

どんな学校だよ、一体。



『今は近道通ってるからええけどな!』

近道ってゆうか危険道だろ



私はボソッと呟いた。

だって、いかにも凶暴の羆が出ますって道通ってるぜ?



『あ!お前ら!』

『げっ…!遠山金太郎!』

『またそんなとこで煙草吸って…高校生が煙草吸ったらアカンでぇ!!』

『わわ、分かった!分かったから!』

『分かったんなら許す!』



何だ、このチビ…。

赤也よりちっちぇーくせに赤也より権限あるな。



『ヘッヘッヘッ、なーんてな』

『?』

『いつまでもお前にビビってる俺らちゃうんや』



そう言って、三人組の男は三人がかりで少年を取り押さえる。

それはルール違反だろ、だせぇ。



『!…わっ、何するんや!』

『いっつもいっつも中学の時から、年下の癖にお兄さんに説教してんなや!』

『年なんて関係ないわ!』

『このっ――……ん?この女、お前の彼女?』



かかっ、彼女…!?

せめてお姉さんにしてくれよ、オイィ!



『ちゃう!無関係の人や!早よ逃げ!!』

「え?」

『なー、ちょっと俺らと遊ばね?』

『遊ばんわ!明奈、早よ逃げろ!』




――逃げる?この私が…?


何を言ってんのさ、ボク。

私を誰だと思ってんの?




『何やねん、やっぱ知り合いなんやんけ』

『ちゃうわ!』

『なら何で名前知ってるんや!』

『名札に書いてあったんや!』

『嘘吐け!名札なんて付けてないやろ!』

『なら超能力で知ったんや!とにかく何でもええから、その人は関係ないわ!!』



一人の男が私の顔を触ってきた。



『めーっちゃ可愛えやん。な、俺と付き合えへん?』

「………な……と…」

『えぇ?』

テメェみたいな卑怯なヤツと…誰が付き合うかっつーの!!!

うぐっ、はぁ…ッ!



私はソイツの腹に猛烈なパンチを入れてやった。

はぁ〜スッキリスッキリ!



「一人のちっちゃい少年相手に、図体デカイ男が三人も集まってんじゃねーよ!」

『んやと、この…!!』

「やんのか!?私は……私は元北川ファミリーの頭じゃー!!

『っぐ…ッ!!』



もう一人の男には一本背負いをプレゼント。

やっぱやっつけるにはこの技が一番気持ちいいね!



「さ、後はお前だけだな」

『ひぇぇえええ…!』

「コイツら持って帰るか、私にぶっ殺されるか…どっちか選べ

『も、持って帰ります…か、勘弁してください…!』

「ヨシ、ならさっさと失せな。あと、この少年に謝っておくこと」

『は、はいィ…!後で三人で謝らせていただきます…っ!』

「じゃあ、行け」

『ししっ失礼しましたー!!』



男二人を抱えて、その子は逃げるように去っていった。



『………』

「私達も行こう、…」



ヤバイ、このポカーンとした顔には物凄く見覚えがある…!

やっちまった…!!



『す…』

ごめんなさい!すんません!自重します!!

すっげー!!

「え…」

『めっちゃ格好ええやん!!』

「かっ…」

『何処の学校なん!?ワイと友達になろーや!!』



え、えぇと…なんか気に入られちゃったとか…そんな感じ…?



「私は…転校せ『金ちゃん?



ガラッとすぐ隣にある窓が開く。

顔を出したその男の子は…仁王と似たような髪の色をしていた。



『白石ィ!!何してるん?』

『そらこっちが聞きたいわ。次実験やから理科室来てみたら…えらい興奮してる金ちゃんの声が聞こえたもんで』

『あ、ココ理科室なん?ワイ入学したてでまだよーわからんから、今度学校案内してな!』

『金ちゃん方向音痴やからなぁ…』



この子…先輩にタメ口聞いてる!

北川ファミリーならリンチの刑だな。



『せや!ワイ友達出来てん!』

『友達?』

『明奈って言うねん!』

『明奈って…まさか、立海から来た?』

『へ?立海?』



な、何で知ってるんだ…この白髪!

じゃない、白石!



『せや。柳くんから"北川明奈を宜しく"って連絡来てな』



か、顔広ぇよ、参謀!!

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