V to W
※銀時♀、ゆるく裏注意
初めて抱いてくれたとき。
晋助は俺を綺麗だと言ってくれた。
とりあえず心の準備をすればいいやぐらいで、何もわかってなくて緊張してたあの頃。
「可愛い」「綺麗だ」「もっと乱れろ」「もっと見せろ」という晋助の静かな暗示。
言われる度に晋助の言葉が心に響き、隣にいてもいい女なのだと自信になった。
愛される女が綺麗になるというのは、たぶんこういう事だろう。
「ねーねーねーねー晋ちゃん。」
隣で寝ていた男の背中をつっつく。
それでも反応が鈍い場合は『しんすけ』『おきろ』『ばーか』『このやろー』と背中をなぞるのだが、今回は反応が早かった。
「お、めずらしい。」
「………ん…。」
「しんちゃーん。」
「………………。」
「あのさ、恋する女は綺麗?」
「………………。」
「どう思う?」
キラキラとした目で聞いてくる女。
それに対し、男は瞬きを繰り返して脳を覚まそうとする。
「ね?」
「……………。」
「ね?ね?」
「………そんだけ…発情してんだろ…。」
「なにそれ超現実的。」
男はなんとか答えを捻り出す。
しかし銀時はズバッと酷評。
何がなんだかわからない様子の高杉だが、ひとまず馬鹿にされたことには気付いたらしい。
半分寝ぼけながら、銀時の頬を軽くつねった。
それを受け流していると、次第に獣としての切れ目になってくる。
うわぁきたきた。
めっちゃ怖いやつ。
そう思いながらも、銀時の目はキラキラと輝いていた。
「……男を惹き付けるために艶めいて、愛されれば身も心も悦ぶ。
そりゃぁ綺麗になるだろうよ。」
今のお前みてぇにな。
そう呟いて高杉は銀時の体を抱き締める。
これは早く寝ろとの意味かと思えば、皮膚から伝わる体温が高い。
高杉の体が熱くなっているのに気付いた銀時は、布団を剥いで体を冷まそうとした。
(あーあ、やっちまった)
ちょっとだけ話をしたかっただけなのに。
まぁた始まっちゃうのかも。
でもそれも良かったり。
なんて。
「寝るんじゃなかったの?」
「叩き起こされたの間違いだろ…。
それにお前を見たら、元気になった。」
「うぅ、触らせんなし。」
「お前を食えば、俺も綺麗になるからな。」
「晋助が綺麗になってどーすんの。」
「クク…男が綺麗になっちゃ悪いかよ。
きらびやかなのはオスの方だろ。」
「晋助が気にすんのは美醜より健康だっつーの。
このご時世に飲酒喫煙は控えろばーか。」
「お前を食ってりゃ控えられる、と言ったらどうだ。」
「な、」
しれっと宣戦布告してきやがった。
何もかも晋助の思うがままじゃん。
禁酒って言ってんのに、いつの間にか徳利片手に酒飲んでるし。
寝起き酒で良い気になったな。
ドヤ顔でちゅーすんなこのやろう。
(でも、好き……)
晋助のことが、好き。
オレサマ系が好きとか苦労人だなぁ俺も。
「ん……めちゃ辛い。」
「次第に甘くなる。
俺を起こして煽った罰だな。」
「俺はただ喋りたかっただけ。」
「なら喋りながらやるか?
そんだけゆっくりすりゃ、お前も満足すんだろ。」
「んん……。」
そう言って、高杉は銀時を押し倒す。
こうなってしまっては白旗を挙げるしかない。
それに喋りながらなら、自分の体にも優しい…かもしれない。
銀時は否定せず、高杉を受け入れる。
辛い酒の味も、晋助との口付けにより甘さが見えてきた。
先ほどまで激しく愛し合ったというのに、もっと愛されたいらしい。
中に出された精液が潤滑油となり、指で軽く解された後、にゅるにゅると性器を挿入される。
「あ……はぁ……。」
「あぁ、あったけぇな。」
「ん……晋助のは、なんかぬるい。」
「クク…お前の中が熱いだけだろ。」
「あんっ」
性器が最奥を掠めた瞬間、体に甘い痺れが走る。
先ほどまでの性交と違い、話す余裕を加えた繋がり。
性器が最奥を刺激すれば、次第にいつもの性交のような痺れが出てくる。
体を震わせて高杉の性器を感じていると、不意に名前を呼ばれた。
「可愛い顔で感じやがって…。」
「んん…。」
「ずっと見ててやるよ。」
静かににゅるにゅると入る性器を感じ、最奥の刺激に震える。
この性器には何度も貫かれ、何度も絶頂へと導かれた。
ただ性交がこんなに気持ちいいものだと実感したのは少し後の事。
…というのがハジメテの思い出。
(あの時は晋ちゃんを困らせたよなぁ…)
それは俺にとっての初夜。
初恋も初彼も全ての初めてが晋助で、ついに向かえた逢瀬の話。
ひたすら口説かれて、愛撫されまくって、体が火照りまくった後。
ド緊張のまま挿入されるのを感じていたら、何故か痛みというより違和感があった。
なんとも言えない何かが自分の中に入ってくる感触。
性交は痛みから快感になると覚悟してたけど、律動されてもよくわからなかったのが本音。
それが晋助にも伝わったのか、ハジメテの性交は数回律動を繰り返したのち晋助は外で射精した。
いやぁ本当に、今思うと不思議な体験だった。
気持ち良くも悪くもなく、ただ違和感だけ。
終わった後の空気がハテナマークで溢れていた。
でも感覚が変わったのはハジメテが一段落した後。
再び晋助が愛撫をし始めた時、名前を呼んで、ゆっくりと焦らすような指の動きに体が痺れ始めた。
どうやら俺は焦らしプレイがお好みだったらしく。
ゆっくりされた方が興奮度合いが格段に違うことに気付かされた。
あの時の布団の染みは…もう思い出すだけで恥ずかしい。
ゆっくりして、激しくして、またゆっくりされた瞬間に絶頂しまくってた。
体を探りながら的確に攻めてくる指と性器に、繰り返す悲鳴混じりの絶頂。
さっきまでとは違う感覚に頭がおかしくなりつつ、そこからは思う存分味わって…。
のお馴染み展開。
不思議な違和感体験をしたこと。
そして晋助のテクニックにひれ伏したこと。
それが初夜の思い出。
「ん……んっ」
ゆっくりとした交わりに、銀時は思わず声が出てしまう。
激しくないのに感じてしまう。
やはり焦らしプレイは何回やっても興奮するらしい。
高杉と行う性交は幸せなこと。
高杉に愛されることは気持ちいいんだと、心身共に刻み込まれた。
愛されながらも焦らす楽しみもある快感。
そこからじわじわと絶倫へと進化していった、のはまた別の話。
「ん…ぅ………。」
「悦楽が続いて、焦れったいか?」
「ん………。」
「クク……エロい顔で舐めやがって。」
頬に添えられた手。
親指が口の中に入れられ、銀時はそれを吸ったり舐めたりした。
わずかに香る煙管の煙。
それがとてつもなく嬉しい。
「ン……飲酒も喫煙もほどほどにしなよ。」
「これでも減らした方だろ。」
「ストレスたまると量が増えるじゃん。」
「うるせぇよ。」
うるさい嫁には、お仕置きが必要だな。
そう言うと、高杉は突然性器を抜いた。
「あ………。」
性器の挿入がなくなり、体は寂しくて疼いてしまう。
そそり立つ性器を見せびらかしながら、銀時の出方を伺った。
「…お前の口が吸い付きたがってるなァ。」
「いじわる…。」
「いいなそれ、もっと言えよ。」
ニヤニヤしながら、高杉は銀時との口付けを繰り返す。
その際、銀時の手は高杉の性器に触れ、自分の中に入れようと奮闘する。
熱い亀頭が陰部を擦る感触。
昔は食い付きが悪かった下の口も、今では高杉の性器を求め、一度入れれば離さないぐらい吸い付く。
孔の欲望のまま、銀時は亀頭を押し当てて腰を揺らした。
「ん……つかまえた…。」
「あぁ、」
「このまま…きて。」
「しっかり食らいつけよ。」
「うん…。」
「………は、」
「ん……んん……。」
「…あぁ、吸い付きやがる。」
「もっと、奥……。」
「欲しいか?」
「…ほしい………。」
「ならお前は、俺に何をしてくれんだ?」
「ん、とね。」
再び挿入されて頭が沸騰する。
気持ちいいのがやめられない。
そして高杉の問いに、銀時はゆっくり脳を起こして考える。
自分にできるご奉仕、それは。
「……なら、めっちゃ甘いちゅーしてあげる。」
なんてどう?
そう尋ねると、高杉の脳は固まってしまったらしい。
しばらくフリーズしたまま動かなくなってしまった。
こんな時まで焦らしプレイとは。
早く動けと、銀時が腰を動かせば次第に意識が戻ったらしい。
高杉は力が抜けたのか、銀時に覆い被さってきた。
「ちょ、ほんとに奥あたって…、」
「あぁ、本当にお前はアホだな。」
「あほ言うなし…。」
「愛しすぎるアホだ。」
「うれしくない〜。」
「それが俺を夢中にさせる。」
予想外なことが起きすぎて、俺の手にも負えない。
だから面白ぇんだろうよ。
そう呟きながら、腰をゆるく律動させる。
今度は的確に。
絶頂をさせるような腰つきだった。
(俺をもっともっと綺麗にしてよね…)
ちゃんと言葉で伝えてくれる晋助。
恥ずかしいし否定もするけど、その言葉を受けとる度に俺はますます綺麗になっていく。
これはまた、幸せオーラが出すぎてると周りに茶化されるに違いない。
「クク…お前が綺麗になりすぎるのは面白くねぇな。」
「ん…?」
「虫が増えるだろ。」
今でもだいぶ骨が折れるというのに。
そう呟きながら、高杉は銀時の首筋に口付けを落とす。
最初に聞いた話。
その答えは、高杉の中に既にあったらしい。
嫉妬がチラつくと獣の目になるのがその証拠。
最奥を刺激しながら、銀時の体に印をつけていった。
「ぁ……んっ
晋ちゃんってば、情熱的…。」
「疼いて仕方ねぇんだよ。
わかってくれよ。」
「んン……。」
唇を重ねて舌を絡ませる。
高杉の熱を注ぎ込まれ、次第に体も火照り始めた。
口を開けば高杉の舌が入ってくる。
それを迎えて絡ませれば、長くて深い口付けの始まり。
「ん……ン……。」
「………ふ…ぅ、」
口付けしながらも腰をくねらせる。
高杉の手が髪を梳かしてくれる。
性交とはまた違った駆け引きの痺れに、高杉も銀時も酔いしれる。
こういった大人の恋愛は贅沢。
身も心も余裕がないと相手のことなんて考えられない。
「そろそろ、いくぞ。」
「ん……きて、晋助。」
高杉が銀時を囲うように腕を起き、体重をかけて1回1回大きく打ち付ける。
激しい波が定期的に来る感覚。
打ち付けられる度にビクンッと反応し、快楽に溺れる表情をお互いに確認する。
熱を上げつつ、銀時の柔らかい部分を亀頭で刺激する。
首を左右に振っていた銀時も、次第に仰け反る仕草を見せた。
「ぁっ……あッッ!……あッッ!」
「はぁ…っぁ、」
「〜〜ッッ……っあぁ!!」
銀時の体が硬直した瞬間、亀頭が最奥で締め付けられる。
その感触に高杉も呻き声を上げ、とぷとぷと精液を出し始めた。
この絶頂する瞬間。
そして次第に意識が戻る瞬間。
愛しい男の絶頂する表情に、きゅうっと胸を締め付けられる。
(きもちいい…)
じんわり汗をかくやつだった。
晋助もこんなに本気になって、ゆっくりしてくれた。
なら、こっちもお返ししなきゃ。
「はあ…はあ……ん……、」
「っ…はぁ、はぁ。」
「し…すけ、」
「ん……。」
「きて。」
約束だから。
これでもかってぐらい、甘くしてあげる。
顔を近付けてきた高杉の首に腕を回し、銀時なりのご奉仕を始めた。
バレンタインとホワイトデー
(絶頂後は一番甘いって教わったから)
(今度は俺がやってあげる番)
22,02/25
[*前へ] [次へ#]
戻る
←TOPへ