みじかよにかみつき






※裏注意







じゃぼんじゃぼん。
無心で鈍い水音を部屋に響かせる。
ふと我に返ったのは、お馴染みの煙が視界に入ってきた時だった。




「いい歳こいて何してんだテメェ。」

「え、楽しくね?
俺は好きなんだけど。」

銀時は手に持ったヨーヨーを見せつける。
今日も今日とて落ち合う場所に行こうとした時、道中の屋台で売られていたヨーヨーに目を奪われたのだ。

水が入った色とりどりの風船。
夏祭りの定番だとしみじみしながら釣って、手で弾きながら高杉と合流した。
その時の高杉の目は何とも言えなかった。
そして一緒に風呂に入りながら軽く交わり、浴衣に着替えて今に至る。
相変わらず、高杉の目は冷たいままだ。




「夏って感じだろ?」

「小銭で買えるなんざ安い風流だなァ。」

「うっせ。
庶民なめてっと痛い目みんぞ。」

「痛い目みたのはテメェだろ銀時。
優しくされてェなら素直に悦ぶこった。」

「あれはオメーがとことん焦らしたからだ!
強姦1歩手前だったからな!」

「テメェが激しくしてって望んだんだろ。」

「無理やり言わされただけですぅー。」

「ならこの後もとことん焦らしてやろうか?」

高杉は余裕綽々な表情で隣に座る。
それを見た銀時はムッとしながら、高杉の性器めがけてヨーヨーを弾いた。




(少しは痛がれってんだ)

さっきの風呂場ではお互いの加減ができずに求め合った。
場所が場所なだけに、腕や膝に擦り傷ができたり、体の軋む感覚が残る。

今は布団の上で柔らかいが、気分的には激しさよりも労りがほしい。
それには素直になれと言われた。
仕方ない。
銀時はヨーヨーの輪ゴムを指から外し、近くの机上に置く。
そして高杉の胸に飛び込んでみた。




「なんだ、優しくされてェのか。」

「さっきので疲れたんだよ馬鹿杉。」

「もっと素直になってみろ。」

「優しく労れコノヤロー。」

「クク…品がねェなァ。」

そう言いながらも、高杉は銀時の頭を撫でる。
抱きついただけでも凄いと思えよ、と心の中で愚痴を言うと、いつの間にか浴衣の帯をしゅるりと外された。




「割らねェよう気をつけてやるよ。」

その言葉にドクンと胸が高鳴る。
そしてカンカンと煙管を盆に叩く音がしたと思ったら、ふわりと体が布団に沈んだ。

手が早いなと思って隣を見ると、ニヤリと笑う高杉の顔が見えた。
それに銀時も笑うと、ぐっと顔を近付けて唇を重ねた。
最初の口付けよりも煙が混じって苦いが、ゆっくりと絡んでくる。
そして気持ち良くなってきたところで仰向けに寝転がって全てを高杉に任せた。




「ん…っぁ……。」

唇が移動して、首筋に吸い付く。
その際、高杉はゆっくりと歯を立てて柔らかく噛みついてきた。
喉元に歯が当たってじわりじわりと食い込んでくる。
痛みはない。
ただ体が甘く痺れるだけ。




(獣が出たな)

性交中に噛みついてくるのは昔から。
歯形が残らない程度に食らいついてくる。
痕を残したいと言いながらも痛くないのは熟練の業か、獣は獣でも高杉に噛みつかれるのはどことなく落ち着いてしまう。




「んン……っ…ぅ、」

「…いい具合になってんじゃねェか。」

「ぁ……はぁ…ん。」

浴衣をずらせば、反応し始めた己の性器が見えた。
そして風呂場で散々引っ張られた乳首を舐められると、身を捩って逃げようとする。




(そんなのずりーだろ…)

さっきは痛いぐらいに引っ張ってきたくせに。
感覚がおかしくなってるところをゆっくり舐めるとか。
趣味の悪い苛め方だ。

生温かい舌が触れる度にじんじんと疼いて、全てが快感となってしまう。
軽く吸われただけで体がビクンと反れてしまった。




「垂れてきたぞ。」

「んン…っもう……、」

「あァ…こっちからも俺のが出てきてんぜ。」

「あッ…ん、ん。」

後孔を高杉の指がなぞる。
風呂場で出した分は、その場で処理をしたはずだが。
奥の奥に隠れていたのか、白濁した精液が後孔から溢れてくる。




「ぁ……はぁ…ん…ぅ、」

高杉の指が後孔に入って、ちゅぷちゅぷと水音をたてながら解していく。
それだけで腰が溶けそうな快感が全身に走った。

確かにガツガツ攻めてこないだけあって優しくしてるのだろう。
だがその分、快感が長く続くので、いつも以上に喘ぎ声が多くなってしまうのも事実。
このままだと触られてもない性器から射精してしまいそう。
そう思っていると、高杉の指がぐりっと中を刺激した。
その勢いでぱたぱたと少量の精液が出てきてしまった。




「っ……ぁ、あッ」

「もういけたのかよ、銀時。」

「ん…っ、止まらな…ぁっ」

「そのまま出しとけ。」

「あぁっ…ほんとに、止まらない…っ」

少量の精液が出続ける。
こればっかりはどうも加減ができず、自分の体に撒き散らす。
しっとりと汗をかいた体に、甘く疼く快感が続けられた。




「出っぱなしか。」

「はぁ…はぁ…っあぁ、」

「このまま入れたらどうかなっちまうんじゃねェか?」

クツクツと笑う高杉。
その指が抜かれて、ついに熱くそそり勃つ性器が入ろうとしてくる。
その間も銀時の性器からは精液と先走りが混じったような汁が溢れていた。

ずず…っと中を擦りながら奥へと進む高杉の熱い性器。
鈍く全身に響く気持ちよさに、銀時が腰を振ってその先を求めた。




(どうかなっちまう…)

風呂場とは違う熱さ。
律動が始まって奥を突かれると体が悦んで高杉を求める。
いつもならわざと奥を避けたりして焦らすのだが、今回は違う。
奥ばかりを定期的に、触れるような律動で攻めてきたのだ。
連続の射精が止まらない。




「んんッ…ぁっ…あっぁっ」

「は………いい締め付けだ。」

「高杉…っ」

「あァ…。」

口付けを求めて唇が重なった途端。
高杉の亀頭が奥をぐりっと刺激した影響で、銀時の性器が今以上に弾けてしまった。
そしてそのまま連続で律動をされ、締め付けられた高杉の性器も弾ける。




「んン…ふ…ぁふ、ぅん。」

中で高杉の熱を感じながら。
必死に息を整えながらも口付けは止まらない。
舌が絡まり合って、もっととせがむ。
そして舌にも柔らかく歯を立てられて気持ち良くなった。

短いくて熱い夜は終わらない。
まだ終わらせたくない。




「ん……高杉、」

「風情、か。」

「……?」

「テメェも俺を釣ってみろよって話だ。」

ちらりと横目で置かれたヨーヨーを見る。
紫と黄色の線が混じった柄。
いくつもある柄の中で、無意識に選んでしまったのがその色だった。
それがどこぞの野郎を連想させるのは仕方ない。




「…釣って、弾いてやる。」

「割れねェ程度にしろよ。」






(夏至ですね)




16,06/21
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