華月と趙雲 0514
月日はたつのは早いとつくづく思う。
出会った頃は少女という言葉が相応しい華月も、幼さを残しつつも一人の女性へといつの間にか成長をしていたものだ。
これではまるで華月の保護者ではないか、と自分を笑う。
事実、華月と私の付き合いは長い。鍛練の仕方を一から仕込んだり、馬の乗り方を教えたのも私だ
蜀のお転婆姫の側近、又は保護者という肩書きをいただいてもいい…かもしれないな、なんて冗談だ。
そのような事を頭の隅で考えながら執務をこなしていると、扉を叩く音の後に聞き慣れた声に名前を呼ばれた。
「趙雲ー!肉まん届けに来たよ!」
扉を開けると、私が色々と思い返していた本人が蒸籠を抱えて立っていた。いつみても華月の明るい笑顔には癒される。
「はい、孔明先生からの差し入れ!」
「もう昼時だったな、ありがとう華月」
蒸籠を渡す役目を終えたために引き返そうした華月を呼び止めるとこちらを振り向いた華月に小さい頃の面影が重なる。
「…最近幸せそうだな、何かいい事でもあったのか?」
"いい事"に当てはまるのは誰か、と言うことは知っているが少し聞いてみたくなった。
「うん、ちょっとね!」
君はそうやって変わらずに笑ってくれる。
「幸せにな、何かあったら私に言いに来るんだよ?孟起を殴り飛ばしてやろう」
「な、殴り飛ばすまで行かなくても…!」
「ははっ、冗談だ」
もー、と頬を膨らませる君を見て、まだ子供だなと思うと少し安心している自分がいた。
(少しずつ大人になって行く君と、距離が開く事が寂しくて)
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