華月 0514

(もしも、)

馬超と杏ちゃんが恋仲になったと言う事を馬超と話していた時に聞いた。
二人に向けた第一声は祝福の言葉だったと思う、多分。
あの後逃げるように話を切り上げてから自室に帰ったのでその時の記憶が曖昧だ。

膝を抱えて座り込み小さく息を吐く、頭の中がごちゃごちゃで何も考えられない。
はっきりとわかるのは私が馬超を好きだったと言う事、今となっては遅すぎた出来事だ、思い返せば無意識に馬超を目で追っていたんだなぁ…、と理解した。

「そっか、馬超と杏ちゃんが」

恋仲、呟こうとした言葉は溢れだす涙で掻き消された。
馬鹿みたい、今さらだよ。
気付いてなかった私が悪いだけ、馬超も杏ちゃんも何も悪くない。私は友達として二人の幸せを祝福したいのに。それなのに、

ぶつけようのない思いは涙となって零れ落ちるだけで、それを拭う人は誰もいなくて。心にぽっかりと穴が開いたような虚無感だけがそこにあった。

「…寂しいな」

小さく呟いた言葉は静かな部屋に消えていった。



(ひとりぼっちじゃないのにね)



category:うちのこ
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