帝国娘と島国少女と東西兄弟 0513

さて、どうしたものか。

「ヴェストにあんなちいせぇ奴がいたなんて…、聞いてなかったぜ…、寂しすぎるぜー…」
「ギル…、大丈夫?」

兄さんはアーニャの事を言っていなかったことで落ち込んでいるようだし…、なかなか言う機会がなくて伝えられていなかったが、まさか兄さんがここまで落ち込むとは思ってもなかった。

「ルー」

くいくい、と服の裾を引っ張ってくるアーニャに視線を向けた。暫く会っていなかったが、少しの違和感を感じた。

「少し…、痩せたか?」

俺の発言にアーニャは首を傾げた、自分ではよくわかっていないようだ。頭を軽く撫でるとくすぐったそうな顔をするのは昔から変わっていない

「ちゃんと食べているか?」
「食べてる、けどあんまり美味しくない」

あぁ、そうだった。アーニャの料理の腕は壊滅的だったな…、あれを食べて暮らしていると思うと食生活が心配になる。

「クーヘンでも食べるか?」

ぴくっ、とアーニャが反応したのがわかった
無表情ながらも頷いてくる姿をみると、無性にいとおしくなった。

「よし、準備するから座って待っておいてくれ」
「うん」

兄さんの事を言えない気がする、俺も過保護になったものだな。


過保護な保護者
(何故か放っておけない)



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