アイリッシュ 0514
銃弾が頬を掠めた、一筋の血が滴り落ちる。
「…ヤベェかもな」
予想もしていなかった出来事に今までにはない恐怖と不安を感じる。面倒な事に首を突っ込むのはいつもの事だ、首を突っ込んではどんな手を使ってでも盗みを働いてきた。
世間様じゃ悪党やら盗賊やらどんな扱いをされようが今更となってはどうでもいい。
孤独で生きていくつもりだった、仲間なんて出来てもどうせ直ぐにオレの元から離れていく、そう思ってた。
だけどアイツは、無玄は違ってたんだ。仲間なんていえる柄じゃない、アイツが聞いたら笑い飛ばされるに決まってるけど無玄の笑顔見てたら今まで背負ってたモノが全部ぶっ飛ぶぐらい心が軽くなった。
護りたい存在が出来た今、オレはこんなところでくたばるワケにはいかない。帰らなくては、帰らなくてはいけない。
撃ち抜かれた右足を引きずりながら路地裏に逃げるよう身を隠す。
壁を背にずるずると座り込むとポツリと一滴、頬に雫が流れ落ちた。
「雨まで歓迎とはね…、タイミング悪すぎるだろ…」
半ば呆れるかのように降り出した空に向かって笑うことしかもう出来なかった、…こんなとこでくたばりたくねぇよ。
「…無玄、リゼル。今回はちょっとダメかもしんねぇ…」
雨によって何もかもが流されるのを感じながら静かに瞳を閉じた。
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