刹と誓 0625
誓は生まれてはいけなかった、生まれても抹消される存在だったのに気付いたのは刹に関わってから知った事実だった。
自我がはっきりとわかりだした頃から男として育てられてきた、言葉遣いに服装からする事全てをたたき込まれた。女の子が着るような可愛らしい着物なんて着たこともない、遠い存在。
疑問をもった事はもちろんあった、誓は女の子なのにこんな事をする意味はあるのか?と。結局聞くにも聞けずじまい、何か隠された真実があるのならそれを知った時の方が怖いから誓は男として一生を生きようと決意をしていた。
「え、?」
刹の口から発せられた言葉が理解出来ない、いや理解したくない。
「何だよおめー、教えて貰わなかったのか?花京院家を継ぐのはチカだろ」
それは、男ならの役目。誓は女だ、どれだけ男の子の格好をしてもどれだけ刹の口調を真似しても女である事に変わりはない。
「んな事ぐらい知ってるに決まってんだろ!馬鹿だなー刹は!」
笑い飛ばす形で刹に背中を向け庭に駆け出す、今は刹と向き合う余裕がなかった、心臓がばくばくうるさい。
女は一族から抹消。誓の存在は花京院家にとっては重荷であるはずなのに男装をしてまで生かされている理由は花京院家のやさしさか同情か、それとも哀れみか。花山院家にお世話になっている今、誓が女である事は誰にもいってはいけない、知られてはいけない。刹には、刹だけには。
「おい、チカ」
右肩に置かれた手に心臓が跳ね上がるかと思うほどに身体が震えた。
「な、んだよ刹」
「様子がおかしかったから、体調でもわりーのか?」
「何でもねぇって!別にいつもと変わらないチカ様だしぃ?」
「あぁ、確かにその馬鹿さ加減はいつもかわんねーな」
呆れたような表情を浮かべる刹にばちん、と一撃を背中にたたき込むと思いっきり怒られた。いつもと変わらない刹との日常のはずなのに、違うのは誓の心の中とイレギュラーな自分の立場。
category:うちのこ
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落乱