黒鷲少女と英 0513

人知れずある小さな墓へ足を運んだ。
花が添えてあるこの墓は形だけの物で墓の下には誰もいない事は知っている。
彼女の消滅の原因を作ったのは俺といえなくはない、断言はできないが恨まれている…とは思う。

持ってきた花を備え立ち去ろうとした時、空気が変わった気がした、今まで感じていた空気とは、何かが違う。この胸騒ぎは何だ、振り返り辺りを見渡す。
背後に光に包まれた彼女がいた、実体はない、でもそこに彼女がいる。

「お前…、ニーナだよな…?」

俺の問いにやわらかな笑みを浮かべた彼女は小さく頷いた。

「お久しぶりです、アーサーさん」

どうして彼女がここにいるのかはわからないが、自然と言葉が出てくる。

「お前は…、俺を恨んでるだろ?」
「…何故?」
「お前を消滅に追い込んだのは俺だ、お前が消えることはなかったかもしれないだろ」

ニーナは横に首を振る、否定と言うことか。

「アーサーさんが何かしてようとしてなかろうと、わたしは消えるべき存在でしたからわたしはお姉様が幸せなら充分です」
「姉…、イーナか」
「お姉様の事、許してあげてくださいね、わたしは大丈夫ですから」

儚げな存在、こんな小さな身体でどこまでも自分を犠牲にしてきたのだろうか。

「あぁ、わかった」
「ありがとうございます、アーサーさん」

ニーナが微笑む、無意識に彼女に手をのばしたが、もう彼女の姿はなく暖かな光が小さく消えていった。



安らかな終焉を、
(君に祈る)



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