夏 0704
視界が曇る。右目の前で手をひらひらさせても何も映さない見えない。小さく溜息をつき慣れない手つき包帯を巻き付けるがうまくいかずに解け落ちる、悪い事は重なる一方。
壁にもたれ掛かり外をぼーっと眺める。思い出すのは数日前の朧兄さんの事ばかり。あの出来事以来朧兄さんに会っていいのかわからなくて会えていない。あの時は確かに自分らしくない程焦っていた、朧兄さんに真っ先に会いたくて手当てなんて二の次だった。思い返せば馬鹿な事をしたものだ、血塗れのまま朧兄さんに会いに行っても迷惑がかかるだけなのにどうしてそこまで頭が回らなかったのだろう、それ程にまで追い詰められていたのかな。
「…朧兄さん」
保健室から逃げるように走り去った琴を見て朧兄さんの所に行ったのかなと薄々は思っていたけど、来てくれると思わなかった。だけど嬉しかった、姿が見れた声が聞けた。あんな朧兄さんの表情を見たのは初めてだったけど。
「…会いたいなぁ」
ごろん、と床に寝そべるとひんやりした感触が頬に伝わり気持ちいい。
依存している、朧兄さんに。ボクの存在が朧兄さんの重荷になってなければいいんだけど。
category:うちのこ
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落乱