焔と志乃 0717
学園に入る前の出来事、幼く未熟な暗殺者が一人。俺は父上からお偉いさんとこの屋敷の一人娘の護衛を任命され仕えていた。暗殺者という本業から全く逸れたその仕事は久しぶりに人の温もりを感じられた気がした。
「焔くん」
「はい、お嬢様」
おっとりとしているがその中に強い意志を宿した瞳、歳も変わらないような彼女の傍にいることでいつからかだろうか、淡い恋心のようなのを彼女に抱いていたのは。忘れもしない身分違いの初恋と馬鹿な俺への戒め。
殺せ、と命じられた。何があってそうなったのかは一つと告げられなかった。ただ護衛ではなく暗殺者として彼女を殺せと。
「…ごめんな」
小さく呟いた声はもう彼女には届いていないんだろうな、と振り下ろした獲物と赤髪に隠された返り血を乱雑に拭いながら彼女の姿を呆然と見つめた。
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落乱