くくつづ 0724
クナイを持つ手が震える。模擬戦では何も怖くなかった、笑えていたのに実際になるとこうだ。馬鹿みたいに弱い自分に思わず笑いが出る。人を殺す事なんてしたことがない、考えたくもないなんて甘いことだけど僕はただ、くく兄…兵助とずっと一緒にいられるならそれでよかったのに。
油断しているわけじゃなかったはずなのに一瞬の隙をつかれた、兵助が危ないと口より先に身体が動いた。突き飛ばす兵助の身体と同時に味わったことのない肉を裂かれる痛みが押し寄せた。
「綴…っ、!?」
ゆっくりと地面に倒れこもうとしていた僕の身体は兵助によって抱き留められた。刺されたソコが脈打ち熱い痛い。血が滴り落ち兵助までを赤く染める。ぬるっとした血の感触に気付いた兵助は見たこともないような絶望ともいえる表情を浮かべていた。
「…兵、すけ」
口から零れ落ちた声はいつもの自分とは思いもしない弱々しくて自分でももう駄目かもしれないと悟る程に。
「まっ、てろ!今すぐ手当てするから、…!」
頭巾を外し傷口に当てるけど効果をなしてるとはお世辞にもいえないものだと兵助も理解できてるらしく震えた手で僕の手を握り締める。
「綴…、綴…っ!」
大丈夫、まだ聞こえてるよ。だからそんな泣きそうな表情しないで、僕は兵助の笑顔が見たいよ。
「すき、だよ兵助」
ずっとずっと。双子だとかそんなのは抜きで兄妹じゃなくて一人の男として兵助が好き。兵助の隣にいたいのにそれは叶わない事なんだろうな、ぼんやりと景色が霞んできた。
「大、好き」
届いてる?僕の気持ち。
「俺も…、綴」
好きだ、愛してる。耳元で呟かれた言葉に心が幸せで満たされる、もう思い残す事はないよ。
ねぇ、兵助。生まれ変わっても僕達双子がいいな。
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