たけあや 0828
何だか息苦しい、妙な圧迫感を感じる。重い瞼をゆっくりと開けると目の前には竹谷の顔があり、余りの近さに声をあげるところだった。
同室なのにこんなに近くで竹谷の寝顔を見たことはない。整った綺麗な顔、思わず魅入ってしまいそう。ぼんやりと竹谷の寝顔を見ていたら息苦しい原因がわかった。今の私は竹谷の腕の中、抱き締められている状況にいた。今までこんな風に抱き締められたことなんてなかったと思う、押し退けたら解放されるかもしれないけどもう少しこの温もりを感じていたい気もひて、ぴとっと竹谷の胸元に頬を寄せた。
竹谷の心音が耳に伝わる。それが心地よくてゆっくり目を閉じると昨晩の光景がフラッシュバックした。男女の力の差を思い知らされたのはもちろんのこと、色っぽい見たこともない顔で笑う竹谷、喉から漏れる自分とは思えない甘い声、竹谷のごつごつとした長い指、快楽に歪む竹谷の、…駄目だ駄目!思い返すだけで恥ずかしい!!頭に熱がまわる、きっと真っ赤に違いない。自分で撃沈してどうするのよ私…。
一呼吸おいてからぴったりと寄り添っている竹谷の背中に腕を回す。どうして竹谷とこんなことになったのか今でも不思議というか。でもきっと、私は竹谷が、ハチが好きなんだろう。自分でも思っていなかった以上に腐れ縁の喧嘩相手だと思っていたハチの事が。
こうやってずっと傍にいたい、離れたくないって思うのは変なのかな。
「…好き、だよ」
小さく呟く、どうせ寝ているハチには聞こえない一人言。
「好き、好き。ハチが好き」
変なの、なんでこんなにも愛おしいと思うほど、頭の中がハチでいっぱいで。やっぱり私は変なのかもしれない。
「俺も」
不意に頭上から声が降ってきた。一人言だったはずなのに返事が返ってきた事で私身体はびくり、と大きく反応した。
「た、ったたた、竹谷?!いい、いつから起きて!!」
「結構前から起きてたけど?」
絢の可愛い一人言も全部、とにんまり笑うハチに、全て聞かれてた羞恥に私は右手を振り上げた。
「馬鹿竹谷ぁぁぁ!!」
そのまま勢いよく竹谷の左頬に平手打ちがクリーンヒット。いつもなら避けられるはずなのにこの距離も合間ってか、竹谷はモロに平手打ちを浴びた。
「いってぇぇえ!!絢、お前…!」
「竹谷が悪い!!」
「何を…!ってまた竹谷呼びに戻ってるし!昨日はあんなにもハチ、ハチって可愛い声でよがってくれたのに」
「わぁぁああ!!聞こえない何も聞こえない!」
ぶんぶんと首を振り、ハチの装束を力任せに引っ張り再び胸元に顔を埋める。全部聞かれてた、聞かれてた。あの一人言すらも、全部。くつくつとハチの笑いを堪える声が耳に届く、いっそのこと大笑いされた方がこれならいいぐらいだ…!
「そんなに恥ずかしがるなよ」
「うっさい…!!」
「素直じゃねぇの、そこがまた可愛い」
「…っ、」
「絢、ハチって呼んでよ」
「……ハ、チ」
「んー?聞こえないなぁ」
「っ、ハチ!これでいいでしょ!」
勢いよく顔をあげると同時に、よくできましたの言葉とハチが額に口付けを落とした。本当、この人は何処まで私を陥れるつもりなの。
「そろそろ離して、動きたい」
「今日の実技の授業は無理じゃないか?」
「…なんで?」
「動いてみたらわかる」
「何、っ?!」
「やっぱりな?今日は無理させられないなー。よっ、と」
「ちょ?!ハチ、何を…!」
「このまま朝飯食べに行くだけ」
「このまま…!無理無理下ろして!」
「駄目。」
「ハチの馬鹿ぁぁ!!」
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