転生樹と密 1016
何処かわからない見たことのない場所、降り注ぐ太陽と背中に砂の感触、装束と全く違う見たことない服装。わからない、わからないことしかないけど俺は生きている。あの日、あの卒業試験で兵助に俺は刺されてそれ以降の記憶はない、あの時に俺は死んだんだ。
だけど、なんで
「…生きているんだろうな」
馴染みのある懐かしい声が耳に届く、声の方を見れば同じ様な格好をした密がいた。
「密」
「俺も絢に…やっと償えたと思ったんだけどな」
駄目だったのかな、と目元を手で覆い小さく笑う。密も俺も、確かにあの卒業試験で死んだはずなのに、疑問は湧き出てくるばかりでただ何も呟かずに室町と変わらない空を眺めた。ぼんやりと走馬灯のように頭のなかを流れるのは卒業試験の事じゃなくて、あいつらと過ごしてきた五年間。最後の最後に裏切る事になってしまったけど後悔はしていなかった。
「なぁ、樹」
同じように口を閉ざしていた密の横顔を眺めると空を見据えたままだった。
「なんだよ?」
「…生きてよかったのかな」
「…俺もわかんねぇ、何で生きてるかだってな」
「もしかしたら、生きろってことかもな」
「何処かもわからないこの場所でか?」
「そうだと思いたい」
「…わかんねぇ」
ただ、もう一度あいつらと会えるのなら謝りたい、それだけを願って。
category:うちのこ
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落乱