転生はちこと 0124

幼馴染の距離に甘えない方がいいよ、と雷蔵は去り際に私に向かって呟いた。赤渕眼鏡を直しながら幼馴染である琴の姿を思い浮かべる。距離に甘えるもなにも私は琴しか見ていないし琴も一番親しい異性は私だろう、それは小さい頃から変わらない事は確実で。
委員会も終わった時間であろう、鞄を掛け早く会いたい一心で足を進めると紺色の髪が視界を捉える。琴、名前を呼びたかったが琴が此方からは見えない誰かと話している、身体は急に制止を掛けた。何をこそこそと隠れてみる必要があろう、強引にでも手を引き話を終わらせてやればいいと思うが実際に身体は動かず。廊下の角に身を隠し盗み見をする形になる情けなさ。相手は誰だ、わからない。赤の他人が琴の肩を叩く、琴は恥ずかしそうに小さく笑う。どくん、と心臓が跳ねた。琴があんな風に笑いかけるのは私だけだと思っていた、あの笑顔を見れるのは幼馴染である私だけだと。ぐわんぐわん、響く頭が痛く壁を背にずるずると座り込む。琴にとっての、私はなんだ?



category:落乱
タグ: はちこと


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