ちとちと 0111
※庭球×krkクロスオーバー
千歳、と呼ばれて振り返ると見知らぬ人がいた。
誰、この人。お兄ちゃんより大きいかもしれないその人は下駄を鳴らしながら視線を合わせるように屈む。その姿勢結構辛そう、腰に来るよ。
私の名前を知ってるからに初対面ではなさそう、なんだけどどれだけ記憶をたどっても初対面にしか思えない、どうしよう。
久しぶりにお兄ちゃん以外の男の人と喋った気がする、頭の中も目の前もぐるぐるしてきた、なんて話したらいいかわからないし声が出ない。生憎ながらにしてお兄ちゃんも夏もいないので避難できる場所もない。
不思議そうに顔を覗き込んでくる下駄の人と視線を合わせられるわけもなくじっと足先を見つめる、膝がカタカタいってる。
「怖か?」
分かりやすいほどに肩が震えた、なにか喋らないと。思えば思う程わからない、握りしめた手に力が籠もる。
「…怖がらせて悪かったたい」
ぽん、と一回だけ触れる程度に髪を撫でられた。
顔を上げた時にはもう下駄の人はそこにはいなかった。
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