ひかせつ 0707

忍足刹那、周りからはせっちゃんの愛称で呼ばれとる謙也さんの妹でテニス部のマネージャー、ついでに俺と同じクラスで席は俺の前。暇になればその後ろ姿を眺めてるけど小さい、女の子なんやからやろか、他とは違う風に見える。わからんけど。
チャイムが授業の終わりを告げると伸びをしてやっと一息、眠くてしゃーない。軽くストレッチ紛いなことをしていたらこっちを見つめる視線一つ、椅子事わざわざこっち向けて改まって何事。

「ざ、財前くんにお願いがあるんやけど」
「お願い?」
「うん」

お願いってなんや、部活のことか?伏せ目がちになっている表情に思わずかわいいなんて思ってしまった俺はどないしたんや。

「その…。ひ、光くんって呼んでも、ええか、な?」

なんて?光くんやて?別に呼び方なんて誰がどう呼ぼうが好き勝手に呼べばええのに。上上擦りそうなる声を抑えていつも通り、いつも通りを装う。

「別にええよ」
「ほんまに!ありがとう光くん!」

だから、何なんその笑顔。めっちゃ可愛いから。
悔しいから刹那、って呼んでみたら真っ赤になった子が一人。



category:庭球
タグ: ひかせつ


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