たけあや 0213

人が怖かった、信じられなかった。何度も何度ももう顔も覚えていない人と家族になった。本当の両親の顔なんてしらない。私が知っているのは私だけ。中津川もそう、今は良くしてもらっているけど最初だけ。興味がつきたらきっと私はまた乱暴され何処かへ連れていかれる。だから信じてはいけない、誰も。私は一人でいいの。
二人部屋、部屋の前に掲げられた表札を見て項垂れる。一人部屋になれなかった竹谷八左ヱ門、この部屋の相方らしい。確か同じろ組だった気はするけど余り印象にはない。相部屋となると必然的に関わらなければいけない、見知らぬ人とまた。軽く息を吐き呼吸を整えて戸を開くと灰色を高く纏めた髪が揺れる背中が視界にうつる。ふわり、揺れる髪に言葉を発するのを忘れる。何か言わないと、焦るも声にならない。
戸を開けた音に気がついたのか灰色がこちらを見る、綺麗な真っ直ぐな瞳と視線が交わり思わず一歩後ずさる。この瞳は駄目、怖い。じわじわと身体が覚えている記憶が呼び覚まされるようなそんな気さえして、痛い程に手を固く握りしめる。

竹谷はなにも言わないでこちらを見つめたまま私の前まで来る。殴られる、目を固く閉じるこど痛みは来なくて。頭を二回、ぽんぽんと叩かれる感触。わけがわからなくてぱちくり目を開けるとニカリと、笑顔を浮かべる竹谷。

「そんなに怯えるなって!中津川…絢だよな?よろしくな」

まるで太陽みたいな笑顔、この人はなにか違う、のかもしれない。



category:落乱
タグ: たけあや


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