鉢屋と相良 0619
バタバタバタ。長屋の廊下に騒々しい程の二人の足音が響く。忍者ならもっと静かに走れと言われそうだが今はそれどころではない。
「相良ぁぁ!!何でああなったんだ、何で!」
「何でだろうねー、俺にはちょーっとわかんないかな三郎」
「そう言っている場合かあぁぁ!!」
隣ですました顔で走る御陵相良を横目に脚を早める。背後には久々知綴。普段のお調子者はどこへいったのか、というほどに目が本気だ。
「三郎に相良、このやろ…っ、待てぇえ!!杏仁豆腐の恨みぃぃ!!」
「待てって言われて素直に待つ奴がいたらみてみたいねぇ、全くもって」
「軽口を叩いている暇があるなら脚を早めろ!」
「三郎は手厳しいねー」
本当に何でこうなった。…こうなったかというと原因は隣にいる相良。綴が兵助から作って貰ったと喜びに喜んでいた杏仁豆腐を相良がひょいと一口、綴の前で摘んだのだ。綴が怒るのも当たり前だ。適度な甘味があって手料理とは思えないほど美味いな。と、まるで当たり前かのように感想をのべた相良が逃げ去ろうとした瞬間、腕を引かれそのまま私も巻き込まれたというまさに理不尽すぎる理由で追いかけられている。
相良に関わると本当に余計なことにならないというか、私と同じ変装を得意としているのもあってよく絡まれはするのだがこういう時に巻き込むのはやめてほしい。特に琴といる時に絡もうとしてくるのは願い下げしたい。
「よっし、撒いたみたいだなー。しっかし綴のあの反応、絵に描いたようなそのものだったな!」
「…後で謝ったほうがいいと思うぞ」
「何でさ?三郎も楽しかっただろ?」
「これのどこが楽しいものか!」
小さく伸びをし、食後のいい運動会になったなー。と笑いながら言う相良に溜息しか出なかった。でも、嫌いではない。何か不思議と息が合うんだなこれが。御陵相良、本当によくわからない奴。
category:落乱
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