みきまと 0619
遠くから聞こえてくる足音に嫌な予感しかしない。いつもこの時間帯、見計らったように現れるアイツ。
「三木せんぱぁぁい!!」
予想的中。足音の犯人は小日向纏。私に弟子入りしたいだユリコになりたいだ色々と注文をつけてくる後輩。しかも壺から現れたり無駄に神出鬼没を発揮する、こんな時に無駄に忍者するなよ!と一言言ってやりたいぐらいだ。
「…纏」
「はぁい!」
飛び付かれる寸前でなんとか阻止。全く今日も私に何の用だっていうんだ、アイドルは忙しいんだぞ、ユリコとの散歩も残っているんだし手短にすませたいところだ。大体纏の事だ、弟子入りがどうのこうのの話しか出てこないだろう。
「今日はなんだ」
「今日はですね!」
じゃん!と差し出された一枚の紙、基広告のようなもの。これが一体どうしたっていうんだ?
「閑から教えてもらったんですが最近出来たお団子屋さんがありましてね!それで、あのですね…」
…なんだなんだ?いつもの勢いはどうしたっていうんだ。いきなりしおらしくなったっていうか、そわそわしだしたっていうか。なんか、可愛くみえるじゃない、か。
「三木先輩と、お団子屋さんに行きたいです!」
「え、ま、まぁ、いい…けど」
しまった。余りに普段と違いすぎる纏のせいで思わず承諾してしまった。
「本当ですか!やったああ!」
「馬鹿、そんなに騒ぐなって!」
「だって嬉しいんです!急いで着替えてきますから!待っててくださいね!」
「あ、ちょっと纏!待てっ…、て。…聞くわけないか」
私と団子屋に行くというだけであんなに喜ばれると、こっちも何だか照れくさくなる…。あぁもう、また纏のペースに巻き込まれてるじゃないか!もう姿が見えなくなった後輩が走り去っていった廊下を眺めながら小さく笑った。
…まぁ、いいか。
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