くくつづ 0619
杏仁豆腐禁止一日目。
懐から杏仁豆腐が出せないこの切なさ。悔しいから兵助に豆腐をねだると豆腐ステーキにしてくれた、やさしい。
杏仁豆腐禁止二日目。
杏仁豆腐が食べたい。あーやがお団子を食べてる姿をじっと見てたらお団子を渡してくれた、お団子おいしい。
杏仁豆腐禁止三日目。
いつもにましてはっちゃんが焼きそばに、勘ちゃんがうどんに見える。お腹がすいているってわけじゃなくただ杏仁豆腐が恋しい。
杏仁豆腐禁止四日目。
杏仁豆腐食べたい杏仁豆腐食べたい杏仁豆腐食べたい。白いものが全部杏仁豆腐にみえる。というかもう兵助すら杏仁豆腐にみえてきたやばい。杏仁豆…
「る、綴!!」
ゆっさゆっさと身体を揺らされ、呼ばれる声に目を開ける。あれ、さっきまで何してたんだっけ…?今は確か、杏仁豆腐禁止四日目のはずだけど。
「…よかった」
目の前には安心したように一息をついてる兵助。そうだ確か兵助と一緒に部屋に帰ってきて…杏仁豆腐不足っぷりに耐えきれずに力尽きたんだった。
「部屋に帰った途端に倒れ込むし呼んでも起きないし…、心配した」
「…兵助が杏仁豆腐禁止なんてするから」
「う、…悪い」
「なーんて、元はといえば悪いのは僕なんだし」
この通り元気元気!と力強くガッツポーズを見せて見るものの内心は杏仁豆腐が足りなさすぎてどうしようもない。あと二日なんだ、我慢我慢。
「綴」
兵助が差し出したものは杏仁豆腐。紛れもなく、正真正銘の杏仁豆腐。え、なんで。まだ禁止期間は終わってないんだ、もしかして兵助の新手の罠かもしれない、これが俗に言う焦らしプレイってやつかも…!!
「馬鹿な事考えてないで、いいから食えって」
「んむっ」
スプーンを片手に杏仁豆腐をすくった兵助に強引に口の中に突っ込まれる。甘い、杏仁豆腐の味が口の中に広がる。四日ぶりの杏仁豆腐、たった四日間だったのにこんなにも久しぶりに感じるなんて。
「…うまいか?」
「うん、手作り?」「そう、俺の」
兵助の手作り杏仁豆腐、それだけでもう幸せいっぱいだ。差し出されたスプーンに今度は自分から口を開ける。俺も綴には甘いな、と兵助が小さく呟いた。
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