千尋と鈴音 0808

今日も懲りずに幼馴染はオレの所にやってくる。いい加減静かにラノベを読む時間が欲しいとは思うが張本人はそんなオレの気持ちなんて察してはいないのだろうけど。さてさて今日はどんなお小言を言ってくれるんだろうか、一度だけちらりと視線を鈴音に向ける。相変わらずの顰めっ面をしているがその口からはお小言を発せられることはなく静かに隣に座り込んだ。…何しに来たんだ?

「オレが言うのもアレだけど鈴音友達いるワケ?」
「んなっ!?バ、バカにしないでよ千尋のバカ!!い、いるに決まってんでしょ!」

あぁ…察した。察してしまった。

「鈴音の友好関係にオレが口出しするってワケにはいかないけど友達作れよ」「だからいるって!!」
「来年にはオレもいないんだし」

別に深い意味なかったけど来年の事は事実だ。黙り込んでしまった鈴音の顔が少し陰る。オレが卒業したらそんなに悲しいのか?本当バカだな、分かってる事なのに。

「寂しい?」
「違う!別に千尋がいなくたって何も変わんない!」
「あぁ、そう。酷い言われようだな」

全くもって可愛げのないこと。寂しいのが本音ならそれ言って泣きついてきてでもしたら少しでも可愛げがあるというのに、まぁそんな事を鈴音がオレにしてくることは絶対ないであろうが。この素直じゃない幼馴染が同い年ならよかったのかも知れないのに。



category:黒子
タグ: ちひりお


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