ミスルル 0513

金髪の肩に流れるセミロングと共に揺れ動く特徴的な一本のアホ毛をひょこひょこ揺らしながらルル・ローゼンハインは王牙学園内を一人で歩いていた。
待ち合わせていた場所にルルと親しい友人である緑川アリアがいないのだ。

「ったく…、アリアのやつどこ行きやがったんだよ…、オレの貴重な休憩時間がー…」

オレという一人称と男らしい口調、さばさばした性格と中性的な外見も合わさってルルを男だと思う人も少なくない。
現に学園内ではルルを男だと思っている生徒もいるのだが彼女は女性である。
女だと舐められるという理由よりそれをルル自身は否定してはいるが、


前方より迫り来る不自然な集団にルルは疑問を抱いたが先頭を歩く人物を見て理解した。
学内トップ2の座に居座っているミストレーネ・カルス、ミストレだ。
容姿秀麗ともいえる事から異性人気が高く、挙げ句の果てには親衛隊までいると聞いていた。
ミストレの背後を歩いている女子の集団、あれこそが親衛隊なんだろうが、あの女子集団は親衛隊の一部にすぎないと考えると溜息すら出る。

歩みを止め横目で見つめているととすれ違いざまに目線があう、まるで洗練されたといえるような笑顔を見せた。
なるほどな、この笑顔で女子を落としてきたのは理解できる。
嘲笑うような意味もこめた皮肉な笑みをルルは浮かべ、ミストレに笑いかえすとその笑顔が崩れたのを見逃さなかった。

「…気に食わないな」

ルルに向かっての呟き。

「…やな奴」

ミストレに向かっての呟き。


この出会いが後のお互いの運命を大きく変えるとは知らずに。



category:稲妻
タグ: ミスルル


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