いつも纏っている鮮やかな赤色はどこへ行ったのやら。全身に黒を纏った茜は、主が着用しているセーラー服のスカートを翻し、にこりと愛嬌ある笑顔を振りまいた。
「どうじゃ燭台切!いつもといめーじが違うじゃろ!」
但し、口から出てくる言葉と勢いは相変わらずのものである。少しでもその普段と違う外見に心を動かされそうになった自分の甘さが憎い。
「今日はどうしたの、それ」
「お仕事もーどと言うわけじゃ、先客の所に行っておっての。その帰りに寄らせてもらったんじゃ」
可愛いじゃろ?と摘んだ裾をふわりと持ち上げる姿は、見た目だけ取ればさながら何処かのお嬢様のよう。これは可愛いと思っても仕方がない、実際に何を纏っても茜が可愛い事に違いはないのだから。
「そうだね、僕は良いと思うよ」
思っている言葉が自然と言葉になって吐き出される。別に、昼間から酔っている訳ではないのだけど、今日の口は良く回る。彼女の色である赤を胸元で主張するリボンを手に取り、触れるだけの口付けを落とす。そのまま視線を上げると、赤は彼女の頬を染め上げていた。
