きみの瞳の中の海
いずれこのような日が来る気はしていた。人形と言われようが、それが事実だとしてもあくまでも人と同じ。そう思う内に情が生まれた。想いが強くなる度、抱いている気持ちを遠くに、遠くに誤魔化しながらも、結局は一番が欲しい独占欲なのか。娘の様に思い、親心で接し続けるなんて、建前でしかなかった。「りく」
いつもの呼び方ではない、それなりに長い付き合いだという中で、初めて呼ばれる響きに少女は驚いたのか。小さく見開いた瞳が、長い睫毛の下でゆらゆら揺れる。困っている、どうしようもなく。
一回りも小さな手に指を絡める、あの頃の様な冷たさはない。じんわりとお互いの熱が伝わるのがこんなにも嬉しく、愛おしい。触れ合えば触れ合うほど、奥底から欲が湧き上がる。ぎぃ、と軋む音を立てるベッドの上。組み敷かれている理由はきっと少女はわからない。わかってもらえなくてもいい。作之助。小さな声で名前を呟く少女の声を掌で塞ぎ、その額にゆっくりと口付けを落とした。