優しいきみの夢の中

ベッドの上にさらさらと流れ落ちる銀の髪を、掌に掬っては軽く口付けを落とすと、少女の甘い香りが鼻を掠める。その行為がくすぐったいのか、サイズの合わないシャツを被せられたりくが小さく身をよじる。何て幸せなひと時何だろう。ゆっくりと身体を起こし、ほどけてしまった三つ編みを一つ一つ結い直しながら少女の顔を覗き込む。
「なぁ、お司書は、…りく。りくにとってワシって何やろ?」
突然の問い掛けに、金色の瞳がぱちくりと開かれる。明確な答えはないとは言え、我ながら意地悪な質問だ。こちらの一方的な感情で押し流して誤魔化したくはなかった。立て続けに起こった出来事にきっと少女の頭はついていけていないだろうに。それでもどこか、少女の思いを聞いてみたいところはあったのは本心だ。
困らせて堪忍な、と口を開こうとしたその時、少女の伸びてきた手が何も身につけていない作之助の肌に触れる。心臓の位置に置かれた手は、まるで鼓動を確認しているかのように。
「私、まだ、好きとかそういうの…わからないけど。作之助のことは大事だよ。きっと、好きなんだと、思う」
思わず息が止まる。そんな返答が返ってくるなんて想像もしていなかった。求めていた以上の言葉を告げられ、どくんと心臓が速く、脈を打つ。少女の掌越しに自分が生きている現実を突きつけられる。
「質問ついでにな、もう一個、りくに我儘言うてもええ?」
「うん、いいよ」
こんなにも求めて、幸せで、まるで夢を見ているようだ。どうしようもなく愛しい。抑える術を既に使い切ってしまった頭では、もう本能に従うしかなく。胸に置かれた少女の手を引き、その小さな体を力強く抱き締めた。

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