ゆらゆら熱視線

飲み過ぎる事は減ったのだが、馴染みの奴らと共に過ごす時間はまた別格で、気が付けば酒も進み夢心地。酔いが回る足取りは多少なりふらつき、結局のところ織田作に肩を借り、安吾に支えて貰い図書館まで帰ってきた。その頃には一人で歩けるぐらいには回復していたので、二人に礼を告げ自室に向かう先に出会ったのはりく。
「おかえりなさい」
「ただいま」
きっと織田作と安吾に挨拶を交わした帰りであろう。何気無く交わすこの会話にすら愛おしさを感じる。そんな事を考えていたら、するりと伸びてきた細い腕が頬に触れる。
「顔、少し赤いね?」
ひんやりと、じわりと熱を奪い取るような人肌を感じさせない冷たさが太宰には丁度良い。
「飲み過ぎた?」
「いつもよりは飲んだかも…」
「やっぱり」
もう一方の手が反対の頬に添えられる。踵を浮かし、背伸びするようなりくに両頬を包まれる。身長差のお陰か、下から上目遣いで顔を覗き込んでくるりくの姿に思わず思考がくらくらと揺れる。また酔いが回ってきたような気さえするぐらい。真っ直ぐとこちらを射抜く黄金の瞳に魅入られ、そのまま距離を詰め、唇に触れてしまっても許されるだろうか。思考を放棄始めた頭は、どうしようもない。瞳を閉じた次の瞬間、唇に柔らかな感触が触れた。

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