もういちど はじめから
カラン、と氷がグラスに当たり、高い音を鳴らす。食堂の片隅で久し振りの再会を祝って行われた三人だけの宴会は、酒の進みよりもお喋りな口がぺらぺらと動く。それだけ話したい事が山積みなのは事実だった。ああだこうだ言いながらの昔話は各々胸の内に秘めていた物を吐き出すのには良い機会だ。一息着いた時、扉が開く音に気が付いた作之助は視線をそちらに向ける。「混ぜて」
透き通るような銀色の髪をふわふわと揺らしながら此方に歩いて来る少女は有無を言わず、作之助の隣に腰掛ける。突然の来客に予想もしてなかったのか、首を傾げたりくに顔を覗き込まれやっとの事で作之助は口を開く。
「お司書はん!?」
「アンタ未成年じゃないのか?」
「大丈夫だよ、混ぜて」
安吾の質問に気を止めず、太宰の前にずいっと差し出されたグラスは断る事が出来ないとわかっていての行動か。本当に大丈夫かよ…?と、心配の小言を零す太宰を横に、安吾は酒瓶を手に取る。心地よい音を響かせながらグラス半分程に注がれた酒にりくは満足そうに笑顔を浮かべた。
「これで私も一緒だね」
「お司書はん、酒なんて呑んだ事ないやろ?無理に呑まんでもええんやで?」
「そうだよ。別に呑まなくたって…」
「いいの、作之助、治。私がしたかった事なの」
「りくが?」
「うん。安吾が来てくれたら、その時は一緒にお祝いしたいって思ってたの」
ストレートな言葉を向けられた安吾は思わず目を逸らし、太宰はそれを羨ましがり、作之助は少女の感情の芽生えに感動すら覚え。今日という日に乾杯と、4つのグラスが音を立てる。
だから、今日だけは無礼講許してね。