花咲くプラットフォームより

仕事帰りにスーツ姿で女性向けアクセサリーを吟味している姿は周囲から見れば相当不審に映るだろう。何をやっているのだか、と内心思う。それを承知の上で、煌びやかな髪飾りに手を伸ばしているのは事実だ。髪飾り一つと言っても様々な種類がある。大抵手に取ってみる鈴音が好む星型をモチーフとした物。それが鈴音に似合うのは当たり前と過程付けながら次に手に取るのはリボン系統。リボンやシュシュも間違いなく似合うだろう。いつもの二つ括りも可愛いことこの上ないのだが、どうせなら少し髪型をアレンジしてもいい。幸い手先は器用に生まれてきた。姉がいる事もあり、その手のアレンジだどうだの経験は生きる。そう思うとどれも捨てがたくなってきてしまう。優柔不断ではない筈だが、此処でそうなってしまうとは。彼女が似合う物は、喜んでくれる物は何か、頭の中で鈴音の事を浮かべながら考える。この様な事、今迄なら考えもしなかったというのに、気が付けばそこまで鈴音に影響を受けているのかと。
余程悩んでいる様に見えたのか、近くに来ていた店員が、プレゼントにですか?と声を掛けてくる。
「はい、彼女にと思って」
恥ずかしがることも無く流れ出た言葉は、紛いも無く本心そのものだ。
ALICE+