うたかたのごとく

瞳に掛かる前髪を掻き分けた先に覗く額。困った様に下げられた眉が鮮明に見える。やだ、と否定の言葉と共に、手で覆い隠そうとする前に先手を打つ。手を軽く握ると出来る前髪の束に、手慣れたようにゴムを通す。あっという間に至仕様の髪型の完成だ。可愛いじゃん、本心から思った事を言葉にして告げると、鈴音の頬は羞恥心で赤く染まっていく。何と素直な反応だこと。可愛さのあまり、沸き起こる笑いを殺しながら、晒し出された狭い額にゆっくりと口付けを落とした。
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