きみだけのパラサイト・ミー

目の前の課題にうんうんと唸りながら取り組む鈴音の姿を横目に、スマホを触る指を滑らす。ゲームでも何にしろ、彼女は不器用だ。要領が悪い訳ではない、人並み以上に努力家な面もある。彼女の性格がそうさせるのか、思い通りにいかない事の方が多いようだ。表の顔を作って身に纏っているのは鈴音にとって生きづらいであろう。
ノートを閉じ、コロコロとペンを転がした鈴音が机に突っ伏す。無事課題は終わったのだろうか。画面から指を離し、表情が見えないその頭に手を伸ばす。さらりと滑り落ちる髪に手を添え、髪を撫でるとその動きに合わせて小さな頭が揺れる。いつもならお小言を放つ口が何も言わない時は甘えている証拠だと、最近理解出来た。甘えたい時は甘えたらいい、それが少しでも息抜きになるのなら。
「おつかれ」
頷くように小さく動いた頭。次に顔が見れる時は、いつものよう恥ずかしさを隠す為に眉をひそめ、口を尖らせた鈴音でありますように。
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